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産経Webeアンケート
YES? NO? 私も言いたい 集計結果

Question No.52 回転ドアの安全性

高層ビルなどの回転ドアは必要と思うか?
YES 24%
N O 76%
回転ドアでこれまで危険な目に遭ったことがあるか?
YES 23%
N O 77%


 東京都港区の六本木ヒルズ森タワーで男児が自動回転ドアにはさまれ死亡した事故は大きな波紋を広げています。意見を募集したところ、1日までに509人(男性396人、女性96人、性別不明17人)から回答がありました。

 寄せられた主な意見は次の通りです。

  

 【企業責任】

≪駆け込み想定は当然のこと≫

 東京都、男性会社員(二八)「これまで何度も事故が起きているのに、(ビルを管理する)森ビルはドア封鎖を含めた抜本的な対策をしてこなかった。メーカーより責任が重大。子供の駆け込みだって想定するのは当然のこと。損害賠償だけでなく刑事責任を負ってもやむを得ない」

≪なすり合い実に腹立たしい≫

 埼玉県、男性会社員(三〇)「以前から危ないのではと思っていた。今回の事故で、はさまれたとき、ドアがすぐに止まらないというのは明らかに構造的欠陥。被害者とその家族の悔しさを思うと、ビル側とメーカー側の責任のなすり合いは実に腹立たしい。法整備や行政指導してこなかった行政にも責任がある」

 神奈川県、女性会社員(四一)「再発防止のためにどうしたらよいか決定し、実行することが大切。安全に関しては最小限でなく、最大限の配慮をすべき」

 徳島県、男性会社員(五七)「冷暖房費の節減など、効率面のみ追求した結果、生じた事故。昔ながらの引き戸や開き戸ではあり得ないこと」

 和歌山県、無職男性(六一)「専門家と称する人々が安全性についてしたり顔で語るが、専門家なら事故が起こる前に警告をしろ、と言いたい。結局、ドアを作る側も周りの人間も、危険を予知できなかった」

 兵庫県、男性会社員(三七)「人が出入りするための装置なのに、人が機械の動きに合わせ、滑り込むように出入りする。そこには危険だけでなく、人への“無礼”も潜んでいる。それに気づかないビル管理会社はかなり感覚が鈍い。もてなしの心が根本的に欠如している」

 【恐怖体験】

≪私もバッグはさまれた経験≫

 埼玉県、主婦(六一)「半年前、私も回転ドアにバッグをはさまれ、なかなか抜けずに怖い思いをした。入るタイミングを外すと容赦なく回転するので、大人でも危険だ」

 大阪府、自営業、男性(二九)「以前勤めていた会社に自動回転ドアがあったが、意外に不便。回転が遅いとイライラするし、速いと今回のような事故になる。年齢や体調が異なる不特定多数の人間が出入りするところでは不便かつ危険なので廃止した方がいい」

 東京都、女性会社員(三七)「回転ドアは子供だけでなく、高齢者や身障者のことを考えて設計されていない。あのスピードやタイミングに合わせることのできない人も多いはず。別の森ビルの回転ドアで、ガラス扉にぶつかり、かかとを骨折した知人もいる」

≪通るだけで緊張する入り口≫

 福岡県、男性公務員(四五)「通り抜けるだけで、これほど緊張する入り口はない。中心部分を通るべきか、外側なのか、歩幅はどうか…といろいろ考えなければならない。縄跳びを皆が強いられているようだ」

 【子供の安全】

 神奈川県、男性会社員(三〇)「回転ドアは子供にとって大きな興味の対象。ガードマンを常時配置するなどビル側は十分な安全対策を施し、利用する親子連れは子供の行動に念を入れて注意する必要がある」

 大阪府、主婦(四二)「子供だけで使用させるには、回転ドアだろうが自動ドアだろうが、危険性ゼロということはない」

≪絶対に手を離さず乗り込む≫

 東京都、自営業、女性(四二)「回転ドアはあってもいいけど、いつはさまれるかと冷や冷やしながら利用している。自分が注意を払っていても、同時に乗り込んできた人が勢いをつけて回転させると、非常に怖い。子供が一緒の時は絶対に手を離さず、だれもいなくなったのを見計らって一緒に乗り込んでいる」

 東京都、女性会社員(四六)「便利さを追求するあまり、ハイテクや機械に頼り過ぎている。手動で重いドアだったら、子供も事故に遭うこともなかった。生きていく上でのルールや危険なことは親から子へと伝えていくのが基本」

≪危険を教え込む必要がある≫

 東京都、自営業、男性(五八)「社会に存在するさまざまな危険を、親は子供に口を酸っぱくして教え込む必要があるということだ。命をなくしてしまってからでは取り返しがつかない」

 【課題】

 千葉県、男性会社員(三二)「回転ドアの使用はビルの管理者側の都合によるもので、利用者側の安全性に問題がある。設置側は効率を追求する前に、まず安全性を。人が機械に合わせるのでなく、機械を人に合わせるのが基本なのでは」

 神奈川県、女性会社員(三七)「回転ドアは子供やお年寄りなど社会的弱者には不向きで、利便性のみ追求したビジネス用ドアだと思う。ベビーカーや車椅子(いす)が出入りできないということは、世の中の動きに逆行する“人に優しくない”ドアだ」

 大阪府、自営業、男性(四二)「事故原因をはっきりさせるために、回転ドアの設計者の説明も必要ではないだろうか。風の吹き込みや大勢の人の通行を制御するために回転ドアはホテルなどで使われているが、以前から手のはさみ込みなどの事故例を聞く」

≪使い手も安全考えなければ≫

 大阪府、男性公務員(四四)「回転ドアなど公共の場に使われるものには十二分な安全対策が必要。同時に、使う側も他人に安全を任せ切りにしてはだめ。自分の安全をどう守るか考えなくては」

 大阪府、男性会社員(四五)「人によって歩行速度が違うので回転速度も当然合わなくなる。朝のラッシュ時には必ず渋滞し、不便。使い勝手は二の次で、設計者の良識が疑われる」

≪回転する物は低速でも危険≫

 東京、男性会社員(四五)「かつて回転機(モーターやタービン)の仕事に従事していたが、職場では『回転するものは低速であっても危険』が常識だった。公共の場にそのような装置を設けること自体が間違いだ」

≪子供の動きや状況も報道を≫

 福岡県、男性(四六)「マスコミは事故の結果や責任追及だけでなく、事故に至るまでの亡くなった子供の動きや状況なども併せて報道すべき。子をもつ親にとって今後の安全の判断材料にもなる」

 埼玉県、男性会社員(五四)「通常のドアはせいぜい一人か二人なので自由はきくが、大型のものは一度に十数人が出入りするので、ラッシュの電車のドアのような状態になる。入り口と出口専用の回転ドアをそれぞれ設置してはどうか」

 京都府、主婦(五七)「便利なあまり、人の心のふれあいを失っているような気がする。手動ドアならば、前後の人々に注意を払い、譲り合いの精神をもつことだけでも“優しい社会”の一端を担うことができるのに…」

                  ◇

 ≪立教大大学院・福田秀人教授≫

 ■重大事故の背後に多数の軽い事故、事案 「ハインリッヒの法則」通り

 六本木ヒルズの回転ドア事故の原因や背景について企業の危機管理に詳しい立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科の福田秀人教授(危機管理学分野)に聞いた。

                  ◇

 危機管理の専門家ならだれもが知っているのが「ハインリッヒの法則」だ。米国の技師ハインリッヒが発表した労働災害の統計分析で、一つの重大事故の背後に二十九件の軽い事故があり、その背後にはさらに三百件のヒヤリ、ハッとする小さな事案が起きているというものだ。

 今回の死亡事故に至るまで三十二件の事故があり、まさにこの法則に近い結果となっている。

 この法則は最初は軽微な事故でも、いずれ大事故になるとの警告だ。ビルを管理する森ビルやメーカーの三和シヤッター工業側はなぜ途中段階で本格的な対策に乗り出さなかったのか、不思議でならない。

 森ビルの経営トップに事故報告がきちんと上がっていれば、三和シヤッター工業側の費用で適切な対応を取らせることができた。回転ドアのスピードを緩めたり、危険な所に緩衝剤をはさんだり、警備員を立たせることもできただろう。

 一つには新築物件にありがちだが、空調や水回りなどビルのあらゆる部分で不具合が出て、膨大なクレーム処理に埋没して、回転ドアの欠陥を軽んじた可能性が考えられる。

 とはいえ、いかなる理由があっても、顧客を大切にする経営方針ならば、どんな状態でも人命優先の措置を取れたはず。両社には痛ましい事故の再発を防ぐため、情報を包み隠さず開示する誠意を見せてほしい。




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