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VOL.101
返事や礼をしない小中学生
Q 返事や礼をしない小中学生が気になった経験はありますか?
YES 79%
N O 21%
Q 小中学生が返事などをしないのは『大人がしないから』という意見に賛同しますか?
YES 67%
N O 33%
「返事や礼をしない小中学生」が気になりますか。大人はどうでしょう? 「談話室」で大きな反響を呼んだこのテーマについて、産経Webとの連動で実施しているアンケート「Yes No 私も言いたい」で改めて意見を募りました。その結果、24日までに、507人(男性409人、女性98人)から回答がありました。
私も言いたい
【子供たち】
■返してくれない先生も
滋賀県、女子小学生(11)「私の学校では先生方が毎朝校門で『おはようございます』とあいさつしてくれる。それなのに、生徒は先生の顔を見るだけで何も言わない。生徒が悪いと思う」

大阪府、女子高校生(17)「自分が幼かったころは気恥ずかしくて礼をしなかった。きっと今の小中学生もそうなのだろう。親が教えるのもおかしな話で、自分で学んでいくこと。根本的に、人を敬い感謝する気持ちが抜けている人が、大人、子供に関係なく多い」

神奈川県、男子高校生(17)「日本人は、公衆の前で声を出すことを恥じらう人が多い」

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東京都、男子中学生(15)「あいさつをしても返してくれない先生がいる。あいさつをしなくてもいいと判断してしまうのも仕方ないのでは」

埼玉県、男子高校生(17)「中学では先生、先輩、後輩、お客さんにあいさつを絶やさず、返事もあった。高校ではあいさつしても返事をくれない先生がいる。そんな大人を見た子供たちが返事や礼を大切にするとは思えない。大人たちの問題では」

神奈川県、男性公務員(49)「返事や礼をしなくてもいいと考えている小中学生はむしろ少ない。あうんの呼吸、暗黙の了解など、はっきり意思表示しない伝統の表れでは。良い模範が身近にあるかないかが大きい」

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愛知県、男性公務員(47)「通学路や公園で、子供たちから『こんな虫をみつけたよ』と見せられることがある。笑顔で話しかけてくるのだ。過去の子供になくて今の子供にあることも取り上げなければ、今の子供たちはたまらない」

兵庫県、自営業男性(52)「私の知る限りでは、私の時代と比べると今の生徒は礼儀正しい。近所の耳鼻科では多くの児童、生徒が診察後に先生にお礼をいい、会計のあとも看護師に礼をしている」

千葉県、男性会社員(56)「自分の子供のことを心配していたが、ある日、近所の人にあいさつしているのを垣間見た。完璧(かんぺき)ではないが、子供なりに心をこめてあいさつしている様子だった」

【大人は?】
■教育は対人関係の構築
神奈川県、男性(30)「病院では大人ですらまともな返事がない。『呼ばれたら返事をしてください』と頼んでも返事をしない。まともな教育というのは点数を稼ぐことではなく、対人関係を築けるようになることだと思うのだが」

福岡県、男性会社員(23)「ついこの間、空港で子供に落とし物を拾って渡してあげたが、ありがとうの一言も言わず、私の友達が見かねて『ありがとうは?』というと、ようやく『ありがとう』と言った。これは親の責任でしょう」

大阪府、男性会社員(27)「自分の職場でもあいさつしない人は多い。それもいい年の人ほど多い。小中学生に限らず、大人から変わっていかなければならないと思う」

千葉県、自営業男性(36)「都内で古書店を営んでいる。本やCDを売りに来る子供のなかに、品物をどさっとカウンターに置いて無言で立っている子が少なからずいる。驚くのは、同じぐらいの数の大人が子供と同じようにしていることだ」

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岡山県、女子大学生(20)「『返事をすべきだ』とちゃんと教えている大人は大勢いる。そういうことを行動で教えられる兄や姉がいる子も多い。要は環境。『最近』に限った話ではない」

神奈川県、男性会社員(33)「子供は大人の背中を良く見ている。私も痛切に感じるので、恥ずかしくない行動を心がけている。満員電車の中で、音楽を聴きながらマンガ本を読み、人生の先輩たちに席を譲らないのもどうかと思う」

埼玉県、男性(64)「時を守る、礼を尽くす、場を清める−は先輩から厳しく指導された。これができない者は力があっても社会人として好意をもたれないことは明らか。大人が手本を示し、教えていきたい」

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東京都、主婦(46)「小さい子供を連れた母親にびっくりさせられることが多い。すれ違いざまにぶつかりそうになったときなど、まず謝る人はいない。道を譲っても、無言で当然のように過ぎ去っていく」  千葉県、主婦(48)「謝らないということを取り上げてほしい。引っ越して二年になるが、隣の子供の落書きなどのいたずらにうんざりしている。親も見て見ぬふり。子供が怒られそうになると自宅へ入れてしまう。悪さをしたら謝らせることは大切なしつけだ」

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【家庭、学校】
■習慣になるまで繰り返しを
千葉県、主婦(36)「わが家の1年生も近所にあいさつができない。なぜかと尋ねたら『恥ずかしい』と答えた。このままでいいとは思えないので、今後も『あいさつや礼は大切なこと』と言い続ける」

東京都、主婦(35)「核家族かつ近所付き合いを避ける傾向が増えた。さらに、共働きが普通になって保護者の代わりになる大人が少なく、子供の日常に目を配れなくなった。大人が危機感を覚え、本気になって意識改革をしないと解決しない」

大阪府、主婦(22)「小さい子供がいるので、手本となるよう気をつけて返事やあいさつをするようにしている」

東京都、男子大学生(24)「しっかり返事や礼ができるのはしつけのたまものと思う。習慣として身につき実行できるまで、しつこいくらいに繰り返して実践させるべきだ」

兵庫県、無職男性(65)「返事をしない大人、とくに高齢者が多い。学校教育以上に家庭教育が崩壊しているからではないか」

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神奈川県、主婦(39)「小学生の子供がいる。授業参観で先生に『はい』と返事をしないのが気になったが、先生もそれをたださなかった。また、子供たちの返事は『えー』と否定が多い。きちんとあいさつできたときにほめると、自然と習慣になると思う」

愛知県、主婦(40)「自分の体験では、小学校で最初に習慣づけられたのは指名されたら『はい』と大きな声で返事をすること。今は自分を大切にすることが正義で、社会の取り決めに素直に従うことが否定的に解釈される傾向がうかがえる」

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東京都、無職男性(72)「昨年、母校の高校の入学式と卒業式に参列した。名前を呼ばれて返事をする生徒は1割。とくに卒業式では返事もおどけたり、大声を発したり、笑いをとる心底がみえみえ。原因は心の教育を無視、軽視した教育現場にある」

兵庫県、主婦(51)「マンションに7年住んでいる。廊下やエレベーターで何度あいさつしても若い人は知らんぷり。そんな人の子供は全くあいさつしない。子供を地域で守ろうといっても、あいさつもしない親の子供を助けようなんて気にはならない」

【今の時代】
■他人への無関心が原因
香川県、男子大学生(21)「日本が個人主義になっている弊害だと思う。ネットの発達による他人とのつながりの希薄化、意味を取り違えた個性教育がもたらした他人への無関心が引き起こしている。いわば都市型社会の弊害だ」

広島県、男性(69)「この現象が目立つのはここ数年。情報機器の発達と呼応している。テレビ、パソコン、ゲーム機、携帯電話など子供たちが意のままになる機器に熱中するあまり、つい人と人との対話が面倒となり、基本的なコミュニケーションが忘れ去られようとしている。自己本位で快楽的な傾向を戒める警鐘といえる」

京都府、主婦(43)「当たり前の道徳が、テレビを中心としたメディアに軽視され続けた結果。表現の自由を盾にしたおもしろければよいという姿勢はやめてもらいたい」

■□■


東京都、男性(31)「返事を含めて、小中学生の言葉遣いに違和感を持っている。同世代に対して話をしている感じで、なれなれしすぎる。社会も小中学生に対して、礼儀を教えることに余裕がないのかもしれない」

茨城県、男性会社員(38)「以前、名前を呼ばれて返事をした人が若い人たちに笑われていた。最近は返事をすることは恥ずかしい行為と思われているようだ」

北海道、男性公務員(43)「返事以前に会話能力が落ちていると感じる。自分と異なる考えを持つ相手を説得することをせず、説得される前に、キレてしまう人間が長幼を問わず増えているのでは」

奈良県、無職男性(61)「世の中で悪いことに対して叱咤(しつた)する場面、叱咤する人がいなくなった。無関心さが目立つ」 

大阪府、主婦(67)「孫の入学を機に小学生に接するようになり驚いた。おはようと言っても無言でじろっと見るだけ。あいさつだけが重要とは言わないが、体格の良いのをみると心と体のバランスに不安を覚える」

≪目立つことは避けたい≫
■椙山女学園大人間関係学部・加藤主税(ちから)教授(58)
(普段教えている)女子大生を見ていると、返事をする学生の声はどんどん大きくなり、活発になってきた一方で、返事をしない学生も増えたという印象だ。返事をしない子供が目立つというなら、そういう子供がそのまま大学生になっているのかもしれない。

あいさつにしても、昔は、多くの学生が義務的にでもしたものだ。この変化は、「自分にとって利害関係があるか、ないか」を考えるようになったことと関係しているのではないか。

先生が自分のことを知っていると思えば、とりあえずあいさつはするし、知らないと思えばあいさつはしない。銀行や病院で返事をしないのは、返事をしてもしなくても特段の利害関係がないからだろう。

そのような「どっちでもいい状況」が世の中に増えている。むしろ「返事をすることで注目されることはいやだ」「どっちでもいいなら目立つことは避けたい」と返事をしなくなるのだ。

今回の論争の発端となった表彰式で返事をしなかった子供たちだって、最初に名前を呼ばれた子供がたまたま返事をせず、次の子供も目立ちたくないから、それにならったのかもしれない。

「大人が返事をしないから、子供がしない」ということも、子供はさまざまな状況で大人を見ているのだから、そういうことは言えるだろう。

飲食店などで店員に呼びかけたとき、(忙しいのか)こっちを見るだけで席に来ないときがある。そんな態度を見ていると、返事ぐらいしてほしいと思うことがある。このような現象は、人間関係の希薄化の表れなのだろう。

≪日本は言葉に対し“ケチ”≫
■作家・荻野アンナさん(48)
現在の日本は、返事をしなくても、礼やあいさつができなくても、通用してしまう所に問題があると思います。子供たちのそういう態度に、大人が及び腰になっているという状況です。

今の義務教育では、ほかの生徒と横並びで突出して目立たないようにするという指導がされているようで、自己主張をしない癖が小中学生の段階で身についてしまうのではないでしょうか。

返事やあいさつができないのは、「目立たないように」という学校での教えを守り、周囲に気を配ってのことかもしれません。

あいさつができるということは、自分を表現するということにもつながっています。コミュニケーションのスイッチのオンとオフの役割も果たしていると思います。

フランスでは、キオスクでガム1個を買うにしても「ボンジュール」と話し掛けないと関係が成立しません。あいさつがないと相手に敵意があると受け取られるのです。それが省略できるほど、日本は平和で危険がないのでしょうね。

しかし考えてみれば、大人も返事やあいさつをきちんとやっていないと思います。商店で物を買うときから、親である大人があいさつや返事、礼を言わないと子供には伝わりませんね。

日本は言葉に対してケチ過ぎると思います。省略したり、ケチケチしたりせずに多様な日本語を使うことが大事です。言葉は無料で、一番使えて楽しいものなんです。言葉をどんどん使う習慣を付け、家族や教師、地域の住民が機会があるごとに子供たちに言葉を掛けてしゃべらせることが必要ではないかと思います。
記者のひとこと
日本の社会から“大切なもの”が、どんどん失われていくような気がします。返事やあいさつ、礼…。いずれも、人間関係における「潤滑油」のようなものです。家庭で学校で会社で、大人たちも子供たちも、この問題をいま一度考え、まず実行してみてはどうでしょう。(由)
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