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毎週金曜日の朝刊に掲載
VOL.119
戦後60年
戦後60年に合わせて、歴代首相の評価や印象に残る人物、真っ先に解決すべき日本の課題について意見を募集したところ、11日までに、713人(男性637、女性76)から回答が寄せられました。今回は紙面を拡大して、主な意見を紹介します。
私も言いたい
首相の評価
戦後の首相で高く評価する意見が最も多かったのが、現職の小泉純一郎首相です。
改革に取り組む姿勢やリーダーシップ、拉致問題の扉を開いたことを評価する意見がありました。
一方で、強引な政治手法などを批判する意見が多かったのも小泉首相です。
続く、吉田茂、岸信介の元首相は、総じて年配の読者の支持が多く、戦後ニッポンの基礎を築いた業績などが評価されています。


東京・女性会社員(26)「小泉首相は拉致問題に真正面から取り組んだ首相です。この功績はほかの失言を補って余りある」

北海道・男性フリーター(27)「小泉さんは、政治に興味を持つきっかけになった。この人以前の首相は印象が薄い」

奈良・主婦(40)「小泉首相は、政治家では初めて、分かりやすい言葉で話してくれた」

東京・男性会社員(30)「小泉首相に対しても初めは今までと違う日本が生まれることを期待したが、今は大統領気取りでうんざり」

千葉・男性会社員(38)「吉田首相は、敗戦直後の日本を分断させることもなく、“統一”を持続させた。ベストの首相だ」

東京・男性会社員(59)「戦後、われわれは未曾有の困難を迎え、貧困と窮乏に耐えた。その戦後政治を指導した第一の功労者は吉田首相。第二は岸首相」

愛知・男性(63)「構造改革を計画的に実行できる人が総理にふさわしい。中曽根康弘さんらが印象に残っている」

熊本・男性無職(67)「日米安保改定の岸首相、国鉄民営化の中曽根首相を次に評価します」

神奈川・男性会社員(39)「田中角栄首相までの歴代内閣は、良かれ悪(あ)しかれ存在感があった。昭和五十年代以降の日本は元気を失ってしまった」

印象に残る人物
最も印象に残る人物でトップになったのは田中角栄元首相。学歴もなく、二世議員でもなく、首相にまで上り詰め、マスコミは「今太閤(たいこう)」と、もてはやしました。
だが、ロッキード事件で逮捕され、その後は「闇将軍」として政界に暗躍。その落差が激しい分だけ、読者の印象も強いようです。
昭和天皇、現職首相の小泉純一郎氏が田中氏に続きました。
ほかには、石原慎太郎東京都知事と石原裕次郎の兄弟。行革を進めた土光敏夫氏、野球の長嶋茂雄氏、イチロー(米大リーグ・マリナーズ)、歌手の美空ひばり、作家の司馬遼太郎氏、三島由紀夫氏らの名前も挙がりました。


東京・男性(38)「田中角栄首相は、良くも悪くも日本を転換した人物」

静岡・主婦(49)「田中角栄さんについては長短あるが、アメリカ一辺倒の外交をしなかった気概を評価したい」

東京・女性無職(52)「田中角栄氏は、首相就任演説を暑い最中にテレビでみた。大学生だった私には、その内容よりも、脂ぎった顔と聞き取りにくいだみ声、精力的な語り口が印象に残っている」

大阪・男性(68)「悪い方で、田中角栄さん」

大阪・主婦(38)「高校時代の担任に『日の丸の赤は血、白は骨の色』と教えられた。真に受けた私は日本人に生まれたことと日本国の存在を恥じた。だが、祝日に揚げる日の丸に嫌悪を感じたことはなく、卒業式の国歌斉唱では胸が震えた。それは、明治男の祖父と大正生まれの祖母の家庭教育のおかげだったと思う。昭和天皇崩御のとき、祖母は『陛下は若いころからずっと苦労なさった。お気の毒だった』といって泣きました。日本国民として当たり前の感情を私も受け継ぎ、子供にも教えていきたいと思う」

山形・男性(57)「戦後六十年は昭和の時代です。とりわけ三十年代は、子供は子供らしく、男は男らしく、女は女らしくなど、すべてが〜らしく生きられる人情味あふれる心豊かな時代でした。人間的にもすばらしい昭和天皇も懐かしくしのばれます」

東京・男性公務員(42)「戦後に限定すると、印象に残る人物をなかなか一人に絞りにくいと感じた。それだけ戦後の日本人は小粒になったということだろうか。かつての戦国の覇者や維新の元勲のような『乱世の英雄』が待望されていると思う」

やるべき課題
取り組むべき課題で、最も多かったのが、中国や韓国などアジア諸国への対応、それに関連する反日感情の高まり、靖国参拝、領土問題でした。
やはり、関心が高かった戦後の教育のあり方や歴史認識、外交、拉致問題も、これに密接につながっています。
このほか、憲法改正、少子・高齢化、郵政などの改革、政界の浄化、治安の悪化、ニート、景気なども挙がりました。


奈良・男性大学生(21)「最近、強く感じることは日本人の歴史に対する無知です。戦後六十年といいますが、つい六十年前のことであり、私たちの祖父の世代の出来事です。過去、私たちの国で何が起こったのか、一面的ではなく多面的に歴史を学ぶことが、未来のために、いま私たちに必要なことだと思います」

海外・男性会社員(37)「自国に対して誇りの持てる歴史観、日本としての価値観の再創出が必要。海外に出てみて改めて日本文化・習慣の素晴らしさを実感」

北海道・女性無職(42)「日本人は本当に“おとなしい”民族だと思う。国旗を焼かれても怒らず、ののしられても言い返すことをしない」

岡山・男性会社員(52)「日本の外交は最悪。北方領土、尖閣、竹島…。プライドを失った国に将来はない」

滋賀・男性公務員(59)「近隣諸国との友好は大事にしなければならないが、自分の国の都合で一方的にわが国を非難する反日行動に対しては断固たる態度で」

埼玉・女性大学生(18)「政治を動かしている人があまりに利己的に見えてしまう。いったい何人の政治家が真に日本のことを考えているのだろう。子供のけんかのような抗争に励む前にやることがあるだろう」

大阪・男性大学生(23)「六十年といえば“還暦”。自殺者の増加やニート・フリーターの増殖などの社会病理は、平和に浮かれ、時代ごとに生じていた問題を先送りにしてきた結果であろう」

東京・男性フリーター(24)「一九九〇年代中ごろから始まった“漠然とした不安”を何とかしてほしい。若い女性の性の乱れ、治安の悪化、無気力な若者が増えている」

東京・男性会社員(26)「今一度、日本という国家像を問い直すいい機会だと思います。疲弊した制度、さび付いた思想などを一気に片付けてしまいたい」

埼玉・男性会社員(47)「戦後六十年もたって、いまだに自主憲法を制定できていないという現実には、一国民として反省しなければならない」

愛知・男性自営業(63)「道路公団の橋梁(きようりよう)談合などをみても、公社、公団、特殊法人を含めた『官』の独走を許していたら、日本は滅びる」

広島・男性無職(64)「少子・高齢化が一番。マスコミも子育てや教育の苦しさを報じるのではなく、楽しさを大いに報道してほしい」

兵庫・男性無職(65)「この六十年、日本人のモラルは低下している」

奈良・男性無職(65)「サラリーマンの税負担の増加、社会福祉問題などを考えると、政治家のわが身大事さだけが目に映る。一大政治改革が必要だ」
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