見知らぬ人との出会い、豊かに
恋愛コメディー「ホリデイ」 人生変える休暇
東京朝刊 by 岡田敏一
英国と米国でそれぞれひとり暮らしする若い女性、共通点は失恋したこと。そんな面識のない2人が、失恋の痛手を癒やそうと、クリスマス休暇に互いの家を交換する。雪深いロンドン郊外の童話に出てくるようなかわいい家と陽光まぶしいビバリーヒルズの大豪邸、休日を満喫する2人に新たな出会いが訪れる…。24日公開の恋愛コメディー「ホリデイ」の監督・脚本は、ナンシー・メイヤーズ。久々に優れた脚本のハリウッド映画に出合えたと思わせてくれた。
ロサンゼルスで映画予告編の製作会社を経営するアマンダ(キャメロン・ディアス)と、英新聞社の地味な事務職員アイリス(ケイト・ウィンスレット)。正反対のキャラクターを巧みに演じるディアスとウィンスレットが素晴らしい。米国人が持つぬぐい難き英国コンプレックスをくすぐった点も好感が持てる。
2人の恋のお相手となるのがグラハム(ジュード・ロウ)とマイルズ(ジャック・ブラック)。色男のグラハムがアイリスの兄というのがミソで、妹が家を交換したことを知らずふらりと立ち寄ったところでアマンダと遭遇する。一方のマイルズもハリウッドの駆け出しの映画音楽作曲家で、アイリスに未知の世界を案内する。米で人気ナンバーワンのお笑い芸人ブラックだけに、達者なモノマネやシャープなギャグ(ほとんどアドリブ?)でアイリスを笑わせる。
作品に深みを与えているのが、キャリア50年のベテラン男優イーライ・ウォラック演じるアーサーだ。アマンダ宅の近所に住むかつての名脚本家だが、自分は過去の人間としてハリウッドから忘れ去られていると思い込んでいる。偏屈なアーサーが、アイリスには心を開き、今のハリウッドの体たらくぶりを嘆きながら黄金時代の名画をDVDで見るよう勧める。
単なる恋愛ものではなく、見知らぬ人との出会いが人生が豊かにすることをさりげなく教えてくれたりもする。昨年のクリスマスシーズンに公開された米では予定調和的な展開と批判的な見方をする批評家も少なくなかったが、むしろ日本受けけする内容では?
ひとつお楽しみを。アイリスとマイルズがレンタル店でDVDを物色中、超大物スターが客として登場する。
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