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山下洋輔 ENAK LONG INTERVIEW VOL.21
ジャズピアニスト
山下洋輔(2)

15周年と150周年
ニューヨーク・トリオは昨年で結成15周年を迎えた。それを記念して録音されたのが、アルバム「パシフィック・クロッシング」だ。笛の藤舎名生を迎え、打楽器奏者の仙波清彦には和太鼓類を演奏させた。ニューヨーク・トリオに純邦楽の楽器を加え、日本の音楽のリズムや旋律の追究を試みた。

「トリオも結成15年を迎え、そろそろ新しい試みをしてもよいだろう。私はトリオとは別に和楽器の演奏家との共演も続けていたので、両者を融合させようと考えました。できあがったものを聴きながらトリオ結成以来、ずいぶんと太平洋を渡ったなと思い、『パシフィック・クロッシング』というタイトルにしました」

「だれも指摘してくれないので自分でいいますと、ロッド・スチュワートの『アトランタ・クロッシング』がヒントになりました」と、笑う。なるほど英ロックスターの代表作と山下とは結びつきにくいかもしれない。

それはともかく、CDの装丁には、「咸臨丸難航図」を使った。咸臨丸は1860(万延元)年に幕府が使節を米国に派遣した際の船で勝海舟が艦長を務めた。この錦絵は、咸臨丸の実質的な責任者とされる軍艦奉行、木村喜毅の子孫が所有。横浜開港資料館が保管している。

ところで、咸臨丸出帆の6年前、日本は米国と日米和親条約を結び、公式の交流を始めていた。すなわち1854年。ちょうど150年前だ。折しも今年、締結の地、横浜では150周年の記念行事がさまざまに行わることになっていた。ニューヨーク・トリオは米国公演の後、日本で凱旋公演を予定していた。これも何かの縁。凱旋公演を150周年記念と絡めることにした。15周年と150周年。

それは本当に偶然だった。しかし、この偶然は必然だったかもしれない。

150年の時を超えて
山下洋輔 「実は幕末とは縁がありましてね」

著作も多数ある山下には、「トラバタ門」という小説がある。これは、山下自身が調べた祖父、山下啓次郎の足跡を記したものだ。啓次郎は“日本の五大監獄”を作った建築家だった。そして、曾祖父は薩摩藩士で西郷隆盛とかかわり、維新後は日本の警察制度創設に尽力したひとりになった。

山下の祖先は、幕末から明治初頭にかけてくっきりとした足跡を残していた。その足跡を調査、発掘したのは山下自身だった。啓次郎は刑務所建設にあたり、米国視察のため太平洋を渡ってもいた。

「ジャズという向こうの文化を受け入れた自分は、(ニューヨーク・トリオとして)こんどはそれをもって米国に返しにいった。初めて海を渡った幕末の人間の心情が自分と重なったりしますね」

そんな山下とニューヨーク・トリオの日米交流150周年記念公演。ステージには「咸臨丸難航図」のほか開港当時の横浜の風景を描いた錦絵もスライド上映されるという。150年の時を一気に超えた演奏が繰り広げられるに違いない。

TEXT & PHOTO BY TAKESHI ISHII/石井健


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日米交流150周年記念
山下洋輔ニューヨーク・トリオ 「パシフィック・クロッシング」コンサート

[日時]12月2日(木)開演19:00
[会場]横浜・関内ホール
[出演]山下洋輔ニューヨーク・トリオ
   山下洋輔(ピアノ)
   セシル・マクビー(ベース)
   フェローン・アクラフ(ドラム)
   ゲスト:藤舎名生(笛)
    仙波清彦(鼓ほか)
[料金]¥6,000(全席指定・税込) [問い合わせ]ジャムライス:03(3478)0331
パシフィック・クロッシング
パシフィック・クロッシング
山下洋輔ニューヨーク・トリオ

UCCJ-2028 ¥3,000(税込)

01.フェイズ・アフター・フェイズ
02.シャボン玉
03.ヘイケ・キッズ
04.四神剣
05.水神・風神
06.五人囃子
07.レクイエム
08.トリプル・エクスプロージョン
09.かなりや
PROFILE
昭和17年2月26日東京生まれ。44年、山下洋輔トリオを結成、フリー・フォームのエネルギッシュな演奏でジャズ界に大きな衝撃を与える。
63年山下洋輔ニューヨーク・トリオを結成。国内のみならず世界各国で演奏活動を展開。
ジャズ以外でも平成10年、今村昌平監督の映画『カンゾー先生』の音楽を担当し、平成10年度の芸術選奨文部大臣賞(大衆芸能部門)を受賞。15年には紫綬褒章受章。
15年まで洗足学園音楽大学ジャズ・コースの客員教授を務め、16年4月からは母校国立音楽大学の客員教授に就任。
多数の著書を持つエッセイストとしても知られる。(公式サイトから抜粋)
公式サイト
http://www.jamrice.co.jp/
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