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専科 矢代鴻(やしろ・こう)
昭和43年入団 大阪市出身 |
「矢代」は宝塚歌劇を見るきっかけを作ってくれた友人の姓。「鴻」は大阪の豪商、鴻池をイメージしたそうだ。
「鴻池家はすごいお金持ちって学校で習った印象が、子供心に残っていたんでしょうか。パッと浮かんだ名前を、軽いノリでつけただけで、全く意味はないんです。私はいまだに、自分で芸名を言うのが恥ずかしいタイプなんです」
歌のスペシャリスト。退廃的で大人っぽい歌唱は歌劇団では貴重な存在だ。入団時は男役だったが、ダンスでひざを痛めたことがきっかけで、5年目に娘役に転向して、歌を中心に活動するようになったという。
最近ではやはり、「琥珀色の雨にぬれて」(花組)で、クラブの女主人エヴァ役の粋な芝居と心にしみるような歌声が印象的だ。
「大好きな、いい役ですね。私は歌もお芝居の中のひとつと思ってやっていますから」
大阪のシアター・ドラマシティで19日初日の星組公演「永遠の祈り」(30日まで)には、マダム・ロワイヤル役で出演する。ルイ17世になりすました野心家の青年(湖月わたる)を巡る物語。
「マリー・アントワネットの娘が1人生き残ったという設定で、すごくおいしい役。2部しか出ないんですが、歌よりお芝居が中心でセリフがたっぷりあるんですよ」
来年で90周年を迎える歌劇団は彼女にとって、「今では空気のような、当たり前の存在になっている」そうだ。
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