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三木章雄 |
大学4年のとき、宝塚歌劇団の演出助手募集の張り紙を見た。「月給もらえて仕事は不定期とあったし、生まれてずっと東京だったので違う土地に行ってもいいかなと試験を受けた」と軽い動機で入団した。
それまでに観(み)たのは「アリア・イン・ジャズ」(作・演出、鴨川清作)。「感覚が現代的で印象に残っていた。音楽がすごく好きだったので、こういう世界も面白いかなという思いもあったかも」と振り返る。入団後は鴨川について勉強した。
現在、東京宝塚劇場で上演中の雪組「レ・コラージュ」(関連記事:東京公演始まる)を手がけている。
「自分の中では攻撃的ではない、おとなしいタイプの作品ですね。ノスタルジーや記憶、思い出というイメージから発想した作品です」と話す。
1月には、宝塚大劇場で上演される「アプローズ・タカラヅカ!−ゴールデン90」を藤井大介、齋藤吉正と共作する。各組の主演コンビが交代で出演する90周年記念レビューだ。
「3人がそれぞれ自分らしさを出した場面を用意し、配役のバランスなどを考えながら大枠をぼくがまとめます。宝塚に対する考えや男役のかっこいい見せ方も違うので、あえて調整はしないようにしています。個性が出るほうが、観る側も出る側も緊張感があると思うので」
師匠だった鴨川のカラーを継ぎ、個性的な作品も多い。
「舞台って“時間芸術”だと思うのです。舞台上で時間は違う流れ方をする。ゆるやかに感じたり、すごく凝縮していたり、あっという間だったりとジェットコースターのように起伏がある。その時間感覚を揺さぶりコントロールするのが、舞台作りの面白さですね」
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