高校生のころから劇団☆新感線などを観(み)ている小劇場マニアだった。大阪大学文学部に進んだ後も毎週、劇場に通った。
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荻田浩一 |
「大学院志望だったけれど、浪人するぐらいなら働こうかなと。阪急沿線に住んでいたので宝塚歌劇団は知ってはいた。ここなら芝居でも給料をもらえるだろうと、大学3年のとき入社試験を受けました」
学生気分で気楽に試験に行ったら、ほかは背広姿で驚いたという。しかし、合格。学業と両立しながら仕事を始めた。
平成9年、星組「夜明けの天使たち」で演出家デビュー。
「宝塚以外の芝居も好きなので、逆に宝塚的なセオリーで作ってみたのですが、どこか違うといわれた。自分が拾ってきたものはおのずと出る。宝塚の歴史の土壌に、自分たちの世代が得てきたものをいかに織りこむかを模索しています」と話す。
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現在は星組のショー「バビロン−浮遊する摩天楼」(2月14日−3月23日、東京宝塚劇場)を手がけている。耽美(たんび)的で、神秘性、物語性に富んだ作品が特徴。繊細で複雑な“荻田ワールド”が満載の舞台。
「ある種の美しいゆがみをテーマに見立て、危険性、魅惑的に甘さも加えた。香寿たつきの魅力は、苦みばしった陰りともろさのバランス。宝塚は生徒が看板ですから、生徒の魅力をどう出せるかまず考える。そこから見えてきた風景をベースに、生徒たちと一緒に見られる夢を探すのが舞台作りです」
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