 |
専科・磯野千尋 昭和49年入団 名古屋市出身 |
「母が姓名判断でつけてくれたんです。『サザエさん』の磯野家とは全く関係ないんですよ」
その意味するところは、「苦労するけれど、それが人間的な魅力になって、大きく花開く」だったとか。「私は脇役の方が好きなので、それでいいんじゃないかって思ったんです」という。
名ダンサーのイメージが強い男役だが、しだいに個性的な演技派として、ベテランの味を発揮するようになった。ナチスの将校やギャングの親分などはシャープなスゴ味があり、お父さんの役も多い。
先の花組公演「エリザベート」では、ちょっとスケベな皇帝の側近、グリュンネ伯爵役。現在出演中のバウホール雪組公演「アメリカン・パイ」(貴城けい主演、23日まで)では、若者たちに理解のあるライブハウスのマスターを演じている。
「最近は“いい人”が続いているんです。悪役だと化けられてやりやすいけれど、今回のような地に近い役は、かえって難しいですね。でも、ちょこっとだけ踊る部分があるのが楽しい」
ヒゲをつけた顔も、すっかり定番のようになった。「私は下級生のころから新人公演などでよくヒゲをつけていたし、つけないとさびしい、なーんてね」とおどけた。
「宝塚にこれだけ長くいるのは、やはり男役が好きなんでしょうね。自然な感じで男性に見えるようにつとめたいと思っているんです」
|