遼河はるひ(りょうが・はるひ)さん、宙組研究科7年。現在公演中の『傭兵ピエール』と『満天星大夜總会』に出演している。
遼河さんが宝塚を志望したのは高校2年の時。母の友人と『華麗なるギャツビー』を見たのがきっかけ。
祖母の勧めで4歳のときから日舞のけいこを続けてきた遼河さん。宝塚受験に向けてバレエと声楽のレッスンに通い始めた。そんな遼河さんが直面した最大の難関は父親だった。月に1度はオペラに足を運ぶという舞台好きの父親から思わぬ反対を受ける。
途方に暮れた彼女は、夜を徹して宝塚への熱意を手紙にしたため父親に伝えた。この情熱が父の心を動かしたのか、受験の許可を与えてくれた。
試験当日、周囲の受験生たちが自分よりあか抜けて見えて弱気になった。でもここでひるんだら1生が決まると、持ち前の負けん気を発揮し難関を突破した。
平成8年、『CAN−CAN』で初舞台を踏む。あこがれの銀橋を渡り、スターの隣で踊る緊張で、客席を見る余裕もなかったという。
理想の男役を模索し続ける遼河さん。女性には理解しがたい、男の見栄や弱さを演じることで、芝居に対する取り組みが変わって来た。
「自分のオーラで劇場を埋め尽くしたい」と夢を語る。「やっぱり舞台はすごい」と笑顔を絶やさず話す彼女に、1つ1つの公演で培った自信と余裕が感じられた。
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「花・月・雪・星そして宙(そら)」宝塚歌劇団は、この5組で多くの観客に夢を与え続けてきた。宝塚に初めての組となる「花・月」が誕生したのは大正10年。
その後、新しい劇場の建設にともなって組を増やし、平成10年、新東京宝塚劇場の着工を機に、星組以来、65年ぶりとなる宙組が誕生した。
無限に広がる宇宙を表す宙組は、新世紀を迎えて飛躍を続ける歌劇団のイメージリーダーとなる。
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