兵庫県宝塚市のシンボル、宝塚大劇場と宝塚音楽学校わきに、超高層マンションの建設が進んでいる。当初は、「高い建物は周辺になじまない」といった景観論争や「タカラジェンヌの姿が、外部からのぞかれる」といった反発の声もあったが、外壁の色を周囲の雰囲気に合わせたり、大劇場に目隠し窓を設置するなどして何とか“軟着陸”。
現在、外観がほぼ出来上がり、宝塚一高い建物となっている。
マンション建設は、大手商社の丸紅などが進めている。西に大劇場(高さ約50メートル)、南に音楽学校、北に市立手塚治虫記念館が隣接する好立地。完成時は32階建て(高さ約120メートル)となり、眺望もセールスポイントの一つになるという。
当初は地元自治会などが計画に反発し、「大劇場以上の高さにしないで」といった声があがっていた。市によると、周辺は商業地域で建物の高さ制限はなく、これまでは自主規制で大劇場に合わせてきたという。
しかし、丸紅側は法的問題がないことや採算などから計画通りの高さとし、外壁をベージュ系にするなどして景観に配慮した。
また、歌劇ファンの一部が「けいこ場が丸見えになる」と心配したため、宝塚歌劇団の親会社である阪急電鉄と丸紅が話し合い、大劇場に中が見えないように加工した“目隠し窓”を設置して解決。阪急電鉄は「夢を売る仕事なので、生徒(タカラジェンヌ)が練習する姿が見えなくなってよかった」と話す。
マンションは10月に完成予定で、全177戸のうち約8割に入居のめどが立っており、中には「観劇によく来る」という関東在住の歌劇ファンもいるという。
丸紅では「1階はテナントが入り、入居者以外も利用できるスペースになる。いろいろ意見もありましたが、地域の活性化に役立てるよう努力していきたい」と話している。