雪組 朝海ひかる
宝塚にしかないことに誇りを
コムさん
雪組 朝海ひかる
−−雪組「Romance de Paris」(正塚晴彦作・演出)(関連記事:東京公演始まる)で、パリのクラブ経営者ヴァンサン・シュバリエを演じていますね

国でクーデターが起こって身に危険が迫った王女を救い、恋に落ちる…。最初に台本を読んだときはイメージがつかめなかったんです。それが立ちげいこに入ると、せりふの1つ1つの狙いとか意味が見えてきました。

−−役作りは?

正塚先生に何度も言われたのは「力を抜け」。役づくりは心情を考えるより、力を抜いて台本通りに演じることから始めました。先生は、私を見てヴァンサンという人物を書いたそうです。自分と似ている部分を引き出しながら演じているので、無理に作り出すという部分はあまりなく、気負いもありません。

−−演じてみていかがですか?

今回はヴァンサンのバックグラウンドも描かれていて、父親や昔の出来事が、せりふのない瞬間にすごく頭の中をよぎるのです。昔のことを、実際演じるシーンはないのに思いだしてしまう役は珍しいですね。ナレーションを使ったモノローグの場面も、最初はどう立っていたらいいか分からなかった。先生の指示は「ボーッと立っておけ。事柄を追うな」。この物語はヴァンサンの回想で、モノローグでつづっていく。だから登場人物もヴァンサンから見たキャラクターでもある。そういう風にいろいろな視点、流れで見ることができる作品です。

−−一報、ショー「レ・コラージュ−音のアラベスク−」のほうは?

デュエットダンスはやはりひとつの見せ場だと思います。来年の90周年に向けて、宝塚にしかないものを大事にしなくてはいけないと実感しています。ラインダンス、黒燕尾の男役、娘役のドレス…そしてデュエットダンスもそのひとつ。下級生も「ラインダンスしか踊れない」ではなく、ここにしかないダンスを踊れるのだと思ってほしい。それが未来につながると思います。宝塚にしかないことに誇りを持って1日1日、大事に演じ、踊っていきたいです。

SUMiRE DATA
11月20日(木)東京朝刊
interview by
平松澄子


ROMANCE DE PARIS


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