宝塚宙組公演「白昼の稲妻」「テンプテーション!」評
充実期のトップ・コンビ 舞台に安定感
どこまでも美しい花總まりと、頼もしい大きさの和央ようか。充実期に入ったトップ・コンビが率いる宙組公演は、シンがしっかりした安定感がある。

「白昼の稲妻」(作・柴田侑宏、演出・荻田浩一)は、19世紀前半の混とんとしたパリを舞台に描く愛と復讐の物語。伯爵令嬢ヴィヴィアンヌ(花總)は暗殺された父と兄の復讐を心に期して、亡命先のロンドンから帰ってきた。ターゲットは権力者のランブルーズ侯爵(水夏希)。男爵家の二男で詩人のアルベール(和央)は幼なじみのヴィヴィアンヌを愛し、直接手を下さず、「オセロー」の芝居に実際の人物をあてはめて無念を晴らすことを提案。オーギュスト(初風緑=専科)ら劇場仲間、裏社会に通じているサバティエ(大和悠河)、サロンの女主人(貴柳みどり)らが協力する。

ただ、そうした構図がわかってくるのは、物語も半分を過ぎたころで、終盤がバタバタと駆け足になり、締めくくりも甘い。クライマックスの劇中劇「オセロー」の音楽をロックにしたのは新鮮だが、短時間に登場人物が入り乱れて、かなりの予備知識がないとわかりづらい。敵役初挑戦の水はヒゲがよく似合い、貴柳が侯爵未亡人の品と色気をかもして好演。

「テンプテーション!−誘惑−」(岡田敬二作・演出)はロマンチック・レビューの第15弾。宝塚独自のオリジナル・レビューを提唱し続けて20年になる岡田の情熱には感嘆する。

エデンの園をイメージするプロローグから始まり、アオザイが映えるインドシナなど、さまざまな愛の形がつづられ、名シーンのハイライトもたっぷり。なかでも大階段で黒燕尾の男役たちが「テンプテーション」を歌い、踊るシーンは宝塚ならではの魅力だ。また、大和悠河がラテンのリズムにのり、ナイスボディーの女役で挑発する迫力にドッキリ。

11月17日まで、宝塚大劇場。

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10月25日(金)大阪夕刊
by 平松澄子
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