「Romance de Paris」宝塚大劇場公演評
朝海ひかる 落ち着きと成長
clickキュートな雪組のトップスター、朝海ひかるが、ひと味違ったクールで乾いた魅力を見せているのが、ミュージカル・プレイ「Romance de Paris」(正塚晴彦作・演出)。宝塚大劇場でトップ2作目の公演になり、落ち着きと成長が感じられる舞台になった。

現代のパリを舞台に、高級クラブのオーナー、ヴァンサンと、留学中のアラブ・アッバス国の王女、ナディア(舞風りら)の淡いロマンスを軸に、アッバス国の政争やヴァンサンの複雑な家庭事情を交錯させて描いていく。

主演の2人がパリの街をデートして回る終盤は、あの「ローマの休日」を意識した演出になっているが、全体の印象はミステリー調のハードボイルド。ヴァンサンの回想形式でモノローグを多用し、回り舞台と人物の交差でスピーディーに時間と場所を変える、独特の“正塚演出”が不思議な効果を出している。

アッバス国の武官ラシッド役の樹里咲穂(専科)、同国広報官ムジャヒド役の貴城けい、クラブの店員ディミトリ役の音月桂の、ユニークな役柄と配役の妙が、スパイスになっていておもしろい。

レビュー・ファンタスティーク「レ・コラージュ−音のアラベスク」(三木章雄作・演出)は、音のさまざまな記憶がコンセプトになっているが、いささか記憶が作者の独りよがりで観客に伝わってこない。

見どころは第1景第2場D「タブー!」で、朝海が男から美しい女に変身して踊るタンゴのシーンか。

ほかに、壮一帆、聖れい、凰稀かなめといった、長身の若手男役スターがかっこよく輝いてきた。

29日まで。

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9月10日(水)大阪夕刊
interview by
平松澄子
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