まず立ち回りができなくてはだめな役。今まであまり立ち回りをやったことがなくて、最初はどうしようかと思いました。パワーのいる体力勝負の役ですね。海賊の仲間になったエミリオ(紫吹淳)がどれだけ強くなっていったかを表す役でもあるので、けいこは体を動かすことから始めました。
Q 演じるうえでの苦労は?
すごく楽しんでいます。真剣にやってしまうと嫌味な男になる。アンに「好きだ」と告白する場面も、二枚目でもできるけど、「すーきーだー!!」って二枚目半にしています。エミリオが二枚目さんで、悪役のエドガー(湖月わたる)がクールにやっているので、ほっとする二枚目半の存在もと考えたんです。色物系も得意ですし、コメディーに仕立てるのも好きなんですよ。
かつらも三種類用意しています。かつらによっても微妙に役の雰囲気が変わるんです。酒場でお酒を吹き散らしたり、ダンスでしゃべっていたり−アドリブを入れながら役を生きることができるのも楽しいですね。
Q アドバイスを受けたり参考にしたものがありますか?
監修の柴田侑宏先生には『無法松の一生』のイメージと言われました。中村暁先生(作・演出)からは、「一本気で、頭で考えるより行動が早い男」と。そこに、自分でおちゃめな部分を付け足しました。力強くて荒くれだけど、不器用で気持ちは優しい男。何をやっても憎めないキャラにしたかったんです。
田窪桜子@産経新聞東京文化部