"防火、消火 だけど心の炎は最後まで"

 01/10/29 速報

東京・新宿の歌舞伎町でまたビル火災が発生し、2人が死亡した29日午前、東京・日比谷の東京宝塚劇場前で丸の内消防署による「火災予防安全もちつきまつり」が行われ、同劇場でさよなら公演中の花組トップスター、愛華みれが1日消防署長を務め、駆けつけた約500人のファンや道行く買い物客、サラリーマンらに防火の大切さを訴えた。

11月9日からの秋の火災予防運動に合わせたもの。愛華のほか花組・娘役トップ、大鳥れい、次期トップスターの匠ひびきが参加した。

まず、丸の内消防署の吉沢一彦署長が挨拶。同日朝の新宿・歌舞伎町の雑居ビル火災に触れながら「ファンのみなさまは、宝塚のスターさんに寄せるのと同じぐらいの情熱で火災予防にご協力ください」と述べた。

続いて吉沢署長から1日署長に任命された愛華の号令で消防訓練開始。

ファンが声を合わせて「火事です」とさけぶと、匠が119番通報。大鳥がホースを抱えて消火活動。さらに、匠と大鳥がけが人への応急手当、人形を使っての心肺蘇生訓練などを体験した。

訓練終了後、講評にたった愛華は「責任重大ですから、(トップよりも)緊張します。他人に無関心の時代ですが、宝塚ファンのみなさんは、道で倒れている人を見過ごすことなく、手をさしのべるようにお願いします」と述べるなど1日署長らしくファンらに防火、救助の大切さを訴えた。

その後、来賓とともになごやかにもちつき。

丸の内消防署から感謝状を受けるとお礼にと愛華らから吉沢署長らへサイン色紙が手渡された。


行事終了後、劇場内で愛華ら3人は火災予防意識などについて語った。

匠は「朝などのあわただしいときでも、外出前にはガスの元栓などを必ず確認するようにしています。火災は自分だけではなく周囲に暮らしている方々にもご迷惑をかけることになりますから」と、ふだんの心がけを明らかにした。

大鳥は「母が外出前に『ガスOK?』と必ずいうのを聞いて育ちました」と述べ、安全確認が子供のころから身についていると話した。

そして愛華は、来月11日の東京公演千秋楽をもって退団する気持ちと重ねて次のように語った。

「私はホテルに泊まるとき、必ず非常口を確認します。習慣にするととっさのときに役立ちますから、みなさんも防火意識を習慣にすればいいかと思います。もうすぐ退団で、これからは男物の衣装を着ることもなくなるでしょうから、消防署長の制服を着ることができてサイコーです。10月も終わろうとしていますが、11月に入れば11日までが駆け足のように過ぎていくでしょう。きょうは少し風がありましたが、ああ、これからこんな世間の風にあたることになるのかなあと身にしみました。だけど、気持ちは千秋楽に向けていよいよ高ぶるはず。火災の火は消して、だけど心の中の火はメラメラさせようと思っています」
最制服姿もりりしい、愛華みれの1日消防署長=東京・日比谷の東京宝塚劇場前

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