専科 汝鳥 伶 インタビュー

 01/12/01 産経新聞東京夕刊
 Text By TAKUBO,Oko/田窪桜子@東京文化部

−−『花の業平』で演じている藤原良房はどのような人物ですか

藤原良房は藤原家の繁栄の基礎を作った人。お客さまには悪い人に見えるでしょうが、演じる側としては藤原のために事を運ぼうとした人で、太政大臣までのぼりつめるだけの魅力や人望のあった男だと思います。ただ、藤原の一派がしっかり頑張らないと、在原業平がかわいそうに見えないので、そのバランスが大事ですね。

−−役作りは

原作はもちろん、資料になる本などをよく読みます。そして、役の気持ちや感情を、男か女かは関係なく、1人の人間としてどうだろうと考えます。男役だからといって、あえて男ならどうだろうとかは、考えないですね。

−−印象に残る、あるいは難しい場面は

難しい場面は「廟堂」。放火事件の背景もすべてモノローグのように1人でしゃべるので、非常にやりにくい。逆にやってて楽しいのは、「基経の念」で伴大納言をからかう場面かな。

−−悪役を演じるときの心得など教えてください

威厳のある悪役を演じるときに大事なのは、品が悪くならないようにすることです。良房は人間の大きさが必要で、ましてや貴族ですから。歩き方など細かい注意も必要ですが、どーんとした気持ちをつくることが基本。後輩たちにもよく、お行儀の悪い芝居はしないようにと注意しますね。

−−今年の夏は病気で休演されたこともありましたが

この舞台のけいこ初めはすごく楽しみで新鮮でした。いま、舞台に立てる喜びを改めて感じています。

なとり・れい 昭和46年、『花は散る散る』で初舞台。『エデンの東』『情熱のバルセロナ』『グランドホテル』、バウホール公演『紫陽の花しずく』などで、名脇役として活躍。平成9年、月組組長から専科へ。登場するだけで舞台が引き締まるベテラン男役。

 産経新聞購読お申し込み  産経Web-S お申し込み
産経Webに掲載されている記事・写真の無断転載を禁じます。すべての著作権は産経新聞社に帰属します。(産業経済新聞社・産經・サンケイ)Copyright 2001 The Sankei Shimbun. All rights reserved.