専科 樹里 咲穂 インタビュー

 01/12/15 産経新聞東京夕刊
 Text By TAKUBO,Oko/田窪桜子@東京文化部



現役のタカラジェンヌが、ジャニーズのミュージカルに出演すると発表されたとき、ファンは賛否両論、大きな話題になった。しかし本人は、「つべこべ言ってらんない。やるしかないやん」と真正面から飛びこんだ。

KinKi Kidsの堂本光一主演『SHOW劇「SHOCK」』(ジャニー喜多川作・構成・演出。来年1月27日まで日比谷の帝国劇場)に“紅一点”で出演中だ。

「もちろん、最初にお話を聞いたときは、び、びっくり! 『はぁー、今なんとおっしゃいましたか』という感じでしたよ」と笑う。

演じるのはコウイチ(堂本光一)の義理の姉で、ツバサ(今井翼)の姉。息子もいる女性の役だ。

「私は少しだけ大人の女性で、すぐ突っ走るみんなを見守りながら心が揺れ動く。内面的な表現も要求される役です。演出は宝塚の現役生の良さを出すためにすごく工夫をしてくださっています」

さわやかな“男役”として人気の彼女。女性の役への戸惑いはなかったのだろうか?

「それが、意外とすーっと入っていけたんですよ。最初のうちは“お兄さん姉ちゃんやね”といわれていましたけど。逆に男役での出番のほうが難しかった。本当の男性と共演ですから。いまは女性の私が男の役を演じる気持ちでやっています」

人気アイドルたちはとにかく多忙。彼らのスケジュールに合わせ、朝の5時半までけいこしたこともあった。

「初日を開けるまでは徹夜の連続で、芸能界は大変やなあと(笑い)。ただ、お客さまに喜んでもらうためなら妥協しない姿勢はすごいです」

もう一つ驚いたのが彼らの舞台上での立ち方だという。

「いつも自然体のまま。なのに初日の本番になると、急にキラキラしてくるんですから。瞬発力がすごくて、失敗したとしてもそれをプラスに変えてしまうんです。実はね、私は余興の宴会芸の女王なんですよ。誤解を恐れずいえば、そういう楽しみ方を忘れずにやろうと思っています。もう、私の地がそのまま出てますよ」と楽しそうだ。

次は宙組公演『カステル・ミラージュ/ダンシング・スピリット!』(来年2月16日から日比谷の東京宝塚劇場)に男役で出演する。

「俳優として視野が広がりましたね。宝塚の舞台でも常に外部出演のつもりでセルフプロデュースしていきたい。そして、宝塚という世界を広げていきたいですね」

じゅり・さきほ 平成2年、『ベルサイユのばら』で初舞台。月組に配属。6年、ロンドン公演参加。10年、『WEST SIDE STORY』でアニタ役をダイナミックに演じ好評を博す。昨年6月には『FREEDOM』でバウ公演初主演し専科に配属。『ベルサイユのばら』ではアンドレを演じる。颯爽(さっそう)とした実力派男役として活躍中。(写真・山田喜貴)

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