雪組 月影瞳 インタビュー

 02/01/12 産経新聞東京夕刊
 Text By Takubo,OKO/田窪桜子



−−『愛、燃える』では薄幸の女性、西施を演じていますが?

中国の春秋時代の話です。大芝居で所作事が多いのですが、現代の人にも分かってもらえるようにと役づくりをしました。演じている西施(せいし)は自分の意思を聞かれないまま、敵国の王、夫差(轟悠)のもとに恭順の証しとして贈られます。女性が政治の道具にされても当たり前の時代ですが、西施の感情を大事に演じたいと思いました。

−−どのような人物だと思っていますか?

西施は立派な女性ですね。思い悩みながら、国から託された義務を果たし、一方で、夫差を愛してしまった自分の感情をも貫き通す。ひとつ間違えると計算高いきつい女性にしか見えないので、心のひだを一生懸命出すようにしました。いつの時代も女の心は同じなのだなと思いますね。

−−この東京公演(2月12日まで)で退団されますが?

『愛、燃える』はドラマチックでロマンチックで宝塚らしい作品です。最後にこういう役をいただけて幸せです。

−−退団についての心境は?

辞めると決めるまでは苦しかったですが、いまはさわやかな気持ちです。いろいろな役を演じることができ、昨年末にバウ・ワークショップ『Over The Moon』もさせていただき、本当に恵まれていたと感謝しています。轟悠さんの相手役としても、たくさん勉強させていただき、自分を成長させることができました。この12年間、不器用でつたなかったけれど満足しています。

つきかげ・ひとみ 平成2年、『ベルサイユのばら』で初舞台。花組に配属。4年、バウ公演と新人公演で初ヒロインを演じ注目を集める。6年、ロンドン公演参加後、星組に組替え。9年、『誠の群像』で娘役トップになる。同年、雪組に組替えし轟悠の相手役として活躍。
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