地味な黒のパンツスーツで会見場に現れた絵麻緒は、「16年間、応援し続けてくれたファンには感謝の気持ちでいっぱいです。(トップとして)最初で最後の舞台は、そんな感謝を込めてがんばりたい」と淡々とした調子であいさつ。
退団後については、「結婚願望はあるが、そんな話はない。縁があれば、これまでの経験が役立つような仕事をしていけたら、それも人生と思っている」と終始、笑顔で応対した。
●トップ就任と同時に退団決めた
報道陣が「退団を決意したのはいつか?」と質問すると「昨年9月にトップの話をいただいたときに、退団を決めました」と述べ、トップ就任と同時に退団を決めていたことを明らかにした。さらに「1公演だけで退団するのは残念だけれど、劇団の方針に従いました」と続け、今回の“電撃退団”が、既定路線だったのではないかとうかがわせた。
絵麻緒は東京出身で、昭和62年初舞台。さわやかな容姿の男役で早くから期待を集め、宝塚バウホール公演では、「殉情」「DEAN」「夢・シェイクスピア」に主演している。星組の2番手スターから平成12年に専科へ移籍。
昨年9月に雪組へ組替えとなり、今年3月の大阪シアター・ドラマシティ公演「殉情」からトップとしての活動を始めたばかり。
今月9日にはトップのお披露目公演となる「追憶のバルセロナ」「ON THE 5th」の制作発表を東京のホテルで大々的に行ったが、退団は伏せられていた。スポンサーへの配慮などとみられる。
宝塚大劇場で5月24日に開幕するこの舞台が、同時にさよなら公演となる(7月8日まで。東京宝塚劇場公演は8月16日−9月23日)。
●紺野、成瀬も退団 次期トップは朝海
また、宝塚歌劇団は、絵麻緒の相手役として娘役トップになったばかりの紺野まひる(平成8年初舞台)と、専科の男役、成瀬こうき(平成3年初舞台)の2人も、同公演で退団すると発表した。
雪組の次期トップは、現在2番手男役の朝海ひかるが昇格する。
●「早いと一概にいえない」理事長
トップが1公演だけで“卒業”するのは、6月23日で退団する花組の匠ひびきに続いて2人目。絵麻緒と匠は同期生。
相次ぐ“短命退団の衝撃”は、宝塚歌劇団が世代交代を急いでいるようにもみえるが、植田紳爾理事長は「その時々に応じての劇団や個人の事情があるので、早いかどうかは何とも言えない。最後の舞台で立派な花道を飾ってやりたいという気持ちでいっぱいです」と淡々と話た。