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骨太でジン 「プラハの春」大劇場公演評

 02/05/07 産経新聞大阪夕刊
 inteviewed by Hiramatu,SUMIKO/平松澄子

宝塚歌劇には、一見ミスマッチとも思える現代史をミュージカル化した秀作が、けっこうある。その中にまた1つ、「プラハの春」(春江一也原作、谷正純脚本・演出)が加わった。1968年に起きたチェコスロバキアの自由化事件を背景に描くラブロマンス。香寿たつき、渚あきという実力派のトップ・コンビの巧演もあって、新生星組による宝塚大劇場のお披露目公演は、ジンと心に響く骨太な舞台になった。

プラハの日本大使館二等書記官の堀江亮介(香寿)は、カテリーナ(渚)と運命的に出会い、恋に落ちた。東ドイツ出身の彼女は反体制活動家として国を追われ、プラハで大学講師や民主化を伝える国際ラジオのDJをしていた。お互いの立場を気遣いながら、許されない愛を深める2人。しかし、自由化運動に危機感を高めたソ連の軍事介入で、“プラハの春”は挫折する。

主役2人の命がけの愛に加えて、当時の法律では禁止されていた外国人女性と結婚する外交官の稲村(彩輝直)、自由化闘争に身を捧げて焼身自殺した実在の学生、ヤン(安蘭けい)など、自らの信念を貫く人物が配されている。わずか30数年前の歴史なのに、現実と比べるとあまりに大きくて重い。

2人が永遠の愛を誓う礼拝堂のステンドグラスの神々しい美しさ、全編を切なく流れるスメタナの名曲「モルダウ」は、じつに効果的。“破壊からの創造”がテーマというジャン・ポール・ゴルチェの衣装も、ドラマを超越して不思議な異空間を感じさせた。

「LUCKY STAR!」(中村一徳作・演出)は、組の象徴でもある星をテーマに、香寿の力強いダンスと、説得力のある歌が楽しめるレビュー。エンビ姿の男役を引き連れて大階段で踊るシーン、この時期ならではの初舞台生48人のフレッシュなラインダンスも、見どころだ。

20日まで。


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