0204anothercut.gif
避けては通らないテロ●演出家 草野 旦


0409kusano.jpg −−「ON THE 5th」について

昨年の9月12日に東京で上半期の作品発表を行ったわけですが、ちょうど米中枢同時テロが起こり、東京に向かう新幹線の中で、何をいうべきか考えたものです。たまたま、私の作品はニューヨークの五番街を舞台にしており、元気の出るものにしたいと話したと記憶しています。

元気にかつ楽しくしたいという気持ちは変わっていません。

今回、小林(公平・阪急電鉄)会長から、「セットも振り付けも、音楽も新しいものを」という命題をいただきましたので、新しい。元気。楽しい。この3つをテーマにしています。

−−ブロードウエーの振り付け師、ランディ・スキナー氏らに振り付けを依頼した理由は?

たまたま(阪急の)常務がミュージカル「42nd Street」をごらんになって、「ON THE 5th」にふさわしい振り付けをしているぞというのでみにいったら、エンテターテインメント色の濃い作品で、これは「ON THE 5th」の楽しさにそぐうなと思いました。いっとき、ミュージカルは難しい作品が増えたのですが、あのころのものとは違うなと。

そもそもタップダンスというのは、喜びの表現で、タップのミュージカルがヒットしているということは米国でも楽しさを求める風潮が強いに違いないと思いました。

そういうエンテターテインメント性にたけているので、今回振り付けをお願いしました。

−−作品の中では米中同時テロは、どのような扱になるのか?

後半にかけて少し、そういうものもでてくるということです。さけては通れませんから。

「パーク・オン・ザ・5th」という場面で、紺野がシャインという名前の先住民の娘として登場し、恋をするのですが、その公園の場面が9月10日で、彼女は11日のハイジャックされる飛行機に乗り合わせてしまう運命である設定になっています。

ただ、その部分をあまりに深刻にはしないつもりで、あくまで底辺に流れているようにしたい。

とはいえ、表には出したくないが、避けて通るのも卑怯だ。テロを暗示しているのだとわかってもらえたらと思っています。


0204close.gif