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「最後まで明るく、元気に」
絵麻緒ゆう、思いを語る

 02/05/17 産経新聞大阪夕刊

絵麻緒ゆう
えまお・ゆう 東京都出身。昭和62年初舞台で星組に配属。さわやかな容姿で早くから注目され、着実にステップアップして平成11年には2番手スターに。12年6月に新専科制度により移籍。翌年9月に雪組に組替え。今年2月に専科入りした轟悠のあとを受けてトップになった。東京宝塚劇場公演千秋楽の9月23日で退団する。宝塚バウホール公演では「殉情」「ディーン」などに主演。ルドルフ役は「うたかたの恋」「エリザベート」などで3度経験しており思い入れの強い役だという。愛称はBunちゃん。
■□□半年秘めた思い
「トップ1公演だけで9月に退団することは、劇団の方針で就任時から決まっていた」−。

4月19日の退団発表会見での“正直な発言”は、多方面に波紋を広げたが、いかにも彼女らしいストレートさが現れていた。雪組のトップ就任が公になったのは昨年9月12日。あの米中枢同時テロが起きた次の日で、半年余りも胸に秘めていたことになる。

「私としてはその間、やめないともやめるとも言わなかった。ウソをついているわけじゃなかったけれど、後ろめたい気持ちはありましたね。宝塚は私の中では、夢のあるあったかい場所。これまで私に手を差し伸べてくださった方、応援してくださったファンの方には、ホントに感謝の気持ちでいっぱい。トップになったことがその恩返しかなと思っています」

■■□感性にフィットした雪組
星組育ちの絵麻緒だが、雪組のトップになったことには、全く違和感がないという。

「専科になって雪組に出演したとき、すっごいなじんじゃって。星組では消化できなかった部分が、雪組で解消したって感じだったんです。自分の感性に合った組だと思いますね」

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相手役の娘役トップ、紺野まひるも同時退団するが、2人は仲が良くバランスも息もぴったりだ。「ホンネでしゃべれる部分と、知らん顔できる部分とが、お互いにきっちり区別できてる。心が会話しちゃったんですよ」

トップのお披露目と同時にさよならとなる最初で最後の雪組公演は、24日に宝塚大劇場で開幕する(7月8日まで。東京公演は8月16日−9月23日)。「追憶のバルセロナ」(正塚晴彦作・演出)は、19世紀初頭のスペイン動乱時代を背景に描く愛と戦いの歴史劇。「ON THE 5th」(小林公平原案、草野旦作・演出)は、米ニューヨークの五番街をテーマにしたショーで、ブロードウェーから大物振付家を招いたほか、あのテロの犠牲者へ捧げる祈りの唄もあるという。

0517bun200_3.jpg 「NYは以前に公演で行ったことがあるので、今度はバルセロナを見てきました。街並みが芸術的で人が親切だった。正塚先生の作品は会話文がセリフになっているので感情移入がしやすいけれど、セリフの量がものすごく多い。ショーは(宝塚音楽学校の)文化祭以来のタップダンスの練習で足がパンパン。とにかく、覚えること、やることが押し寄せてきて、体力を維持するのが大変ですよ」

■■■退団後は−
退団後は結婚か、女優か−。

「結婚退団にはあこがれていたけれど、全く白紙の状態では無理ですよ。9月までは短いようで長いし、私は不器用で性格的にも力をうまく配分することができない。最後まで私らしく明るくメソメソせず、舞台を絶対元気に終わらせることが最大の目標です」

クールな外見を装いながら、心、思いやり、感謝という言葉をひんぱんに使う。そんな熱い内面が舞台上で爆発するのが彼女の魅力だろう。1公演に凝縮した“トップの輝き”はとてつもなくまぶしくなりそうだ。





text by Hiramatu,SUMIKO/平松澄子 photo by 土井繁孝


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