
−−今回の1枚は?
今回は3枚! まず、クレイグ・アームストロングの「アズ・イフ・トゥ・ナッシング」(東芝EMI)
−−ライナーノーツによると、映画「ムーラン・ルージュ」「ロミオ&ジュリエット」の劇伴音楽を手がけた人のようですね。
前半がほとんど器楽演奏で、いわゆる癒やし系。ちょっと怖い雰囲気もあるけれど…
−−エニグマにも通じる味わいで、いかにもお好きなタイプの音楽
はい!怖いといっても美形の俳優が演じるドラキュラ映画のようなゴシックロマンふうで…
−−宝塚でいえば「エリザベート」あたりに通じる世界でしょうか?
 |
クレイグ・アームストロング 「アズ・イフ・トゥ・ナッシング」 東芝EMI VJCP-68391 \2,548(税込) |
そう…「エリザベート」も入っているし…「エンドレス・ラブ〜永遠の愛」もそうかな。前半がほとんど器楽演奏なんですが、後半に歌も登場して、これが映画の“愛のテーマ”ふうで…
−−この「STAY(FAR WAY、SO CLOSE!)」という曲ではU2のボノが歌っていますね
何か映像が見えてくる作品。もともと私、映画音楽が好きだったんですよ。ふつうのアーティストの作品だとどうしても、その作り手の個性が一貫しているから、悪くすると一本調子になってしまうけれど、映画音楽って場面に合わせて作られるせいか、曲ごとに場面に合わせた多彩な“匂(にお)い”がするでしょ。私、そこが好きなんです。この作品もいかにも映画音楽を手がけている人らしく、バラエティーに富んだ内容になっています。
 |
「スパイダーマン」 ソニーミュージックエンタテインメント SICP117 \2520円 |
−−次は…
「スパイダーマン」(ソニー)
−−これは、映画のサントラ盤そのものですが(
ただし、昨今流行のイメージサントラで、収録曲すべてが映画の中で大々的に使用されるわけではない)
でも、クレイグ・アームストロングとはまったく異なる世界で、どんな方でも楽しめる作品になっていると思います。
−−映画のほうはもうごらんになりましたか?
まだなんですが、きっとおもしろいに違いないと思わせるサントラですよね。私、「ロミオ&ジュリエット」も映画より先にサントラ盤に接したんですけど、あれもサントラがすごくよくって、映画もきっと楽しいだろうなって思いました。演出と音楽を楽しむ映画というものもあるかと思うのですが、「ロミオ&ジュリエット」はまさにそのての作品でした。
−−「スパイダーマン」でお気に入りの曲は?
2曲目のChad Kroeger「Hero」という曲が特にいい。こういう三連符のロックバラードは、宝塚の“男役の美学”を表現するのにうってつけなんです。ですから、この曲を宝塚で歌うとしたら、お芝居の冒頭あるいはラストで歌うとすごくいいはず。孤独な男が今までどう生きてきたかをこれ1曲だけで表現できるんです。3曲目のSum 41「What We're All About」もかっこいいですよね。
 |
フィリッパ・ジョルダーノ 「ロッソ・アモーレ」 ワーナーミュージック・ジャパン WPCS-11260 \2,520 |
−−では、3枚目は?
フィリッパ・ジョルダーノ「ロッソ・アモーレ」(ワーナー)。
−−オペラ・アリアの名曲を軽音楽ふうに聴かせる作品ですね
これは、まさに正統派宝塚の世界だと思うんです。寝るときに聴くと、気持ちよくベッドに沈めそうな世界でもある。
−−やはり、清そな歌声にひかれたのですか?
声もきれいですよね。この人とか、サラ・ブライトマンとか。ただ、私の場合、2曲目の「ヘヴン・ノウズ〜ナポレターノ」の、実は歌詞にひかれました。
−−歌詞ですか?
彼女のこの歌はテレビで最初に出合ったんです。テレビだから、彼女が歌っている画面に字幕で訳詞が出て。
−−なるほど。
こういう歌は、ショーのフィナーレの、大階段の真ん中でトップスターが歌い上げるのに似合います。お芝居じゃなくて、ショーのほうですね。
−−フィリッパは女性ですが
この歌詞は人として伝えたいことなので男役が歌ってもいいと思います。
−−男役女役といえば、いま、7月の外部出演公演「キス・ミー、ケイト」に向けての練習が続いているかと思いますが?
はい。今はまだパートレッスンの最中ですね。今回は女性の役なので不自然にならないで高い声を出すことに苦労しています。
−−けいこのやり方って、やはり違うんですか?
違います。宝塚とはまったく。でも、それがとても新鮮な発見ですね。
interviewed & press photos by Ishii,TAKESHI/石井健@Web編集部 for Newspaper
後記 伊織は「スパイダーマン」映画未見の段階で想像に基づいて発言しのだが、記者がその後、実際に映画を見たところ「hero」は映画のエンディングロールで流れるのだが、なんと映画のラストシーンは伊織が言ったような世界観に満ちていた。