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産経新聞提供 SUMiRE STYLE
6月20日(木)東京朝刊
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演出家 小柳奈穂子
芝居は地道に作るもの

「SLAPSTICK」で演出家デビューする。25歳。宝塚歌劇団で3人目の女性演出家だ。

演劇に目覚めたのは10歳の時。「舞台はどうやって作っているんだろうかと、演劇の本を買ってきては勉強していました」という。

中学時代は自転車キンクリート、サンシャインボーイズ、演劇集団キャラメルボックスなど小劇場の全盛期。宝塚歌劇団との出合いは高3の時、友人の影響で観(み)た「PUCK」のビデオだった。

「日本でミュージカルを作るなら宝塚歌劇団だと志しました。演出の小池修一郎さんが慶応大学出身と聞いたので大学も慶応を選んだのです」

大学では小劇団で製作に携わる一方、3年で宝塚の入団試験に合格。演出助手となったが、昨年は植田紳爾理事長に直訴して休職。野田秀樹の演出助手を務めるなど人脈を広げてきたという。

「野田さんのところでは、芝居は地道に作るものだと思いました。演出は、役者さんを楽しませ、いかに面白がって作ってくれるか。宝塚も小劇場も分けて考えることはしませんね」

「SLAPSTICK」は20世紀初頭に数々の喜劇映画を製作し、コメディー王と呼ばれたマック・セネットの生涯を題材にしている。

「ハッピーエンドとは何なのか? 生きることは長距離障害物競走。じゃあ、ゴールすることは幸せなのかどうか、という物語」と説明する。

ミュージカルナンバーを多用し、映像も駆使する。主演は月組若手スターの霧矢大夢だ。

「歌で人生を語る手法は映画『ヘドヴィグ・アンド・アングリーインチ』を意識しています。霧矢は芝居に人間性が出るところが魅力。今回は受ける芝居が多い辛抱役でもあるので、胸キュン系の少年のようなナイーブさも出せれば」と話している。


interviewed by Takubo,OKO/田窪桜子
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