星組　安蘭けい 　クリックすると大きな画像に （宝塚歌劇団提供）

−−星組「プラハの春」(８月１１日まで上演中)でヤン・パラフを演じていますね

ヤンは、“プラハの春”の改革で死んだ実在の人物です。演じる前に、ドキュメンタリービデオを見るなどして時代背景をずいぶん勉強しました。

−−それは大変でした

宝塚の舞台は夢の世界ですが、ただきれいなだけで終わってはいけない。焼身自殺した彼の信念を考えて、苦しんで伝えなくてはいけないと役づくりをしました。社会主義という言葉の意味は理解できても、そこに生きた人々の思いはどれだけ伝えられるか？　そしてどこまで当時の情勢も伝えられるか？

−−なるほど

ヤンは、強い信念をもち、自分が動くことで何かが変わると、プラス思考で生きたと思います。演じているうちに私自身も、チェコの国を愛する気持ちが日増しにふくらんでいきましたね。

−−うーん。

ミュージカルナンバーは、芝居の中での気持ちや情感を訴える詞が多く、無心で歌えます。歌を歌うというより歌詞を伝え、そこにメロディーがついてくる感じ。不思議なことに、芝居で歌っていたら普段出ない音が出たんですよ。

−−すてきな体験でしたね

ただ、ヤンのカリスマ性を意識しすぎると何の面白みもない。死んだ後、英雄になったけれど、彼も普通の学生だったんです。ヤンという男性は人間としてすごく好きで、尊敬できる。だから、それだけやりがいのある役。今は毎日が充実していて、時間がたつのがものすごく早いです。