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0623kaiken300_1.jpg お忙しいところ、本日は本当にありがとうございました。きょう、この6月23日を無事、終えることができ、心から幸せに思っています。
先ほどもあいさつで述べさせていただいたように、宝塚大劇場ではお客様にもスタッフの皆様にも、花組の仲間にも、「ゴメンね」という気持でいっぱいででしたが、きょうは本当に「ありがとう」という気持で幸せに卒業することができました。これからの人生、これほどの拍手を浴びることはないと思います。やはり、それが宝塚の素晴らしさだと思います。
私はその宝塚でしか味わえない、宝塚で一番幸せを感じることができた生徒だと思っております。これからの人生、この匠ひびきとして出会った方々と、この感動を宝物にして生きていきたいと思います。

−−17日に匠さんご自身の“初日”(舞台復帰を指す)を迎えられ、日ごとに元気になっていったと思うが、17日から今日まではどういう思いで毎日を過ごしましたか?

17日に復帰するときには心も強くなったはずだったのですが、(自分が出演できない)「琥珀色の雨にぬれて」のどん帳があがり、音楽が流れてきて、みんなのセリフが聞こえるとなぜか寂しい気持ちも、正直言ってありました。
でも、短いおけいこの中で、花組の仲間が一生懸命がんばってくれた舞台を、舞台袖から見ることができて、本当に泣けてきました。
私の中では、4月8日の宝塚大劇場の千秋楽から(17日の)復帰まで、日にちもわからないまま、一生懸命治療に専念したのですが、復帰が6月17日。(23日の千秋楽まで)1週間で、仲間に感謝を伝えることができるだろうか、お客様に伝えることができるだろうか、先生方、スタッフの方々に伝えることができるだろうか−−。毎日、そんな気持でいっぱいでした。毎日、少しでも時間があればいろんな方とお話しすることができて、忙しく、そして毎日感動の1週間でした。

0623kaiken300_2.jpg −−宝塚への愛着を聞きたいのですが

ひとつは、どうも私は男役が好きで、きょうだけでなく、この宝塚の舞台には毎日、何かある、何かわくわくする、言葉では言い表せられないのですが、心が通じあうというか。そういうものを15年間、探しつづけて舞台を踏んできました。その気持は、きょうこの日まで変わりませんでした。
今日は今日で、何かある。その、少し、幼いのですが、緊張と、ワクワクする心がある。
お客様と通じ合わない日も15年の間にはありました。でも、通じ合った日の感動が忘れられなくてきょうまで必死に走ってくることができたと思います。

−−きょうは一番通じあった日ですか?

そうですね。きょうは私のほうが一方的にだったかもしれませんが、すべての方々に、2つしかない目と2つしかない手と2つしかない足と、そしてひとつしかない体。これで、2階の一番後ろの方にまで感謝の気持を伝えたくて…。きょうほど、もっと体がたくさん欲しいなと思ったことはありません。

−−宝塚大劇場の千秋楽と17日の復帰のときと比べると、きょうはステージではほとんど泣かなかったと思うのですが、きょうは泣くまいという気持があったのですか?

そうですね。あの、私はこう見えて、一度涙腺が緩むとずっと緩むんです。どんなにうれしいことを聞かれても泣いていると思うんです。宝塚大劇場のときは、ゴメンねと言ったひと言からずっと泣いていて、泣きっぱなしだったので、きょうこそ泣かないで、匠ひびきとして、男役としてしっかり決めたいと思ったのですが、やっぱり、胸いっぱいになって、涙がこぼれちゃいました。

−−6月23日には何か“新しい風が吹いて”退団後のことが決まるかもしれないとおっしやっていましたが、何か決まったことはありますか

辞めてからのことは、あす24日に、宝塚を辞めた匠ひびきとして新鮮にみなさまにお話したいと思っています。

−−改めてトップに決まったときの気持ちを振り返ると?

専科の匠ひびきから、花組の匠ひびきに戻れたのが一番うれしかったですね。やはり、花組に帰ってくることができ、そして頂点に立つことができて二重の嬉しさでいっぱいでした。

0623kaiken300_3.jpg −−卒業(退団)が決まったときの気持ちを

私の場合、本当に、たくさんケガをして、たくさん休演をしてきました。この宝塚でずっと何か追い続けていたものを、少し見失ったような時期がありました。それは、自分の中でも、舞台に立ったときでも、わかりませんでした。そういう時期がずっとあって、そしてトップになる瞬間に、忘れかけていたその何かが戻ってきて、もうそれだけで十分、私が15年間、命を出しきった舞台を幸せに卒業できるなと思いました。

−−お披露目公演と退団公演が一緒ということになるが、その期間に対する思いは?

お披露目と退団は早くに自分の中で決心をできていたはずが、やはりすごく大変でした。こういうふうに最後の舞台でご迷惑をおかけして、自分も舞台に出られなかったことは悔しいけれど、今はすべてこれで良かったと思っています。

−−花組の皆さんに「ゴメンねと」いう気持ちというのは?

あっ、それは、宝塚大劇場のとき、最後の3日間、病気のために動きが悪くなり、そしていろんな意味で全場面、最後まで出させていただいのですが、できない振りがあり、変更させていただいて、最後までみんなで一生懸命おけいこして作り上げたものを、私自身が貫きとおせなかったところが悔しいくて。心の中でみんなに「ゴメンね」という、その気持ですね。

−−最後にファンの方にメッセージを

本当にファンの方には、私ほど何度も休演をして、そのたびに励ましてくれて、が んばってくれて、また復帰を喜んでくれて、本当にひとりだったから乗り越えられな かったと思います。私の舞台の一瞬のどこかを好きになってくれて、ただそれだけ で、こんなにたくさんの愛情をいただて本当に感謝の気持でいっぱいです。


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