産経新聞提供ENAK 流行+芸能 
ENAK流行 9月20日(木)東京朝刊
作・演出家 齋藤吉正
異色の経歴演出に“新風”

東京農大でバイオテクノロジーを勉強していたという、舞台の作・演出家としては異色のキャリアの持ち主だ。

「野球やサッカーの観戦のほうが好きでした。母と姉の影響で、高校2年のとき初めて宝塚を見て『すごい、かっこいい世界があるなあ』と。それから時々、3階席で見るようになりました」

サイエンス雑誌に投稿するなど文章を書くのが好きだったので、台本にも興味はあった。大学2年で宝塚の入団試験を受けるが失敗する。

「大学3年のときは最終選考で落ちた。人生の目標に定めていたわけではなかったが、勝負事には負けたくないタイプ。3回目にチャレンジして、ようやく合格しました」

平成6年入団。全く畑違いの仕事場に「恥をかいて覚えろといわれたが恥をかくのは嫌だった。ただ、やっていることが新鮮で、いい人生を送らせてもらっていると思えた」と振り返る。

11年、「TEMPEST」でデビュー。新作「ヴィンターガルテン」は、ベルリンを舞台にバレエダンサーとナチスの親衛隊少尉という異なる道を歩いた2人の若者の青春と別れを描く。星組期待の若手の朝澄けい、真飛聖が主演。

「コンビで何かを、ではなく2人の個性を生かし、色の違う主人公たちの人生の対比を意識した。憎み合っても、最後にどこか分かりあえる関係を描けたら」という。

暗転を減らし、歌や踊りを多用したスピーディーな演出が特徴。新鮮な発想に期待も大きい。

「大劇場もバウホールもディナーショーの仕事も好き。いい意味で便利屋になり、何でもやりたい」と意気盛んだ。

         



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