産経新聞社

メタボリックシンドローム

【ゆうゆうLife】メタボリックシンドローム ウエスト回り+3つの数値

CT前に“簡易診断”

 心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞などの危険性が高まっている状態として注目されている「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」。ウエストサイズが基準値を超えたら、健康診断の結果を確認しましょう。働き盛りを無事に過ごすためには、診断基準に当てはまったら、生活改善が必要です。

 「人はそれぞれ身長、骨格に相違があるのに、へそ回りの計測だけで十把ひとからげに基準値が表示されていることに納得できません。私は腰高なので九五センチありますが、BMIは二四−二五でほぼ標準です」(横浜市 78歳女性)

 一月二十六日付「メタボリックシンドローム」の記事で「ウエスト八五センチ以上の男性、九〇センチ以上の女性は要注意」と紹介したところ、「身長に関係のない基準は不自然ではないか」という意見がたくさん寄せられた。

 メタボリックシンドロームの診断基準に対して、同様の疑問を持つ人は多い。背景には、身長と体重をもとに指数を算出する「BMI(ボディー・マス・インデックス)」が、肥満度の判定方法として一般に知られているという事情がありそうだ。

 BMIは体格の肥満度を調べる方法で、BMI値が二二だと病気にかかりにくい標準体重。二五以上が肥満とされている。一方、体重に対する脂肪の占める割合を表すのが体脂肪率。BMI値が適正で、見た目は太っていなくても体脂肪率の高い人は、内臓に脂肪がついている“隠れ肥満”であることが多い。

 メタボリックシンドロームかどうかを診断するには、隠れている内臓脂肪に重点を置いた判定が必要となる。診断の目的は、動脈硬化が引き起こす病気の予防で、動脈硬化の引き金になる肥満、高血圧、高脂血症、高血糖などは内臓脂肪の蓄積が原因だからだ。

 内臓脂肪を正確に知るには本来、腹部CT(コンピューター断層撮影法)を撮る必要がある。しかし、予防目的でCTを撮るのは難しいから、“予防”の最前線である企業診療所やかかりつけ医、保健所などで簡単に使える基準が求められていた。

 メタボリックシンドローム研究の中心的な役割を果たしている日本肥満学会理事長の松澤佑次・住友病院院長は「ウエスト周囲径は、ある程度の目安。予防の一番大きなターゲットは内臓脂肪なので、精度を問うより、メリハリをつけて分かりやすくしようということ」と話す。

 基準値となったウエスト周囲径は、腹部CTで測った内臓脂肪の断面積が百平方センチメートル程度の人のデータから割り出された。この値を超すと、高脂血症や高血糖などの危険因子を複数、発症する人が多くなる。男性より女性の方が五センチ太いのは、同じウエストサイズでも女性の方が皮下脂肪が蓄積していることが多いためだ。

 「欧米ではBMI三〇以上を基準としているが、日本では、これに当てはまる人は欧米の十分の一しかいないから、独自の基準が必要だ。日本は欧米に比べてCTが圧倒的に普及しているので、内臓脂肪を測ったデータの蓄積があった」と松澤院長。

 内臓脂肪が蓄積しているかどうかをみる「ウエスト周囲径」は診断基準の必須項目。精度の高いCTは本当に必要な人にとっておき、目安となるウエストサイズを、予防が必要かどうかの最初の振り分けに用いる。

 これに加え、選択項目である「脂質」「血圧」「血糖」の三つのうち二つ以上が当てはまれば、メタボリックシンドロームと診断される。この三つは定期健康診断で測定する数値なので、ウエストを測って要注意なら、健診結果と組み合わせて確認できる。

 脂質や血圧などは、それぞれがほんの少し高いだけでも、複数の要素が重なると動脈硬化のリスクが高くなる。メジャーで測ってドキッとしたら、まじめに健康診断を受けよう。二日酔いや、食後すぐの受診は禁物だ。

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 「ゆうゆうLife」では今後も随時、メタボリックシンドロームの診断方法や生活改善の取り組み方などを紹介していきます。

(2006/02/24)