食生活の欧米化や都市型生活、運動不足などを背景に、子供の肥満が増加している。文部科学省などの調査によると、学校の定期健診で「肥満」と診断された小中学生の割合は三十年前に比べて二倍近い。これに伴い、子供たちの糖尿病や動脈硬化などの危険性も指摘されている。小児科に肥満外来を設置している大阪医科大学(大阪府高槻市)の高谷竜三医師に、子供たちの肥満の現状や予防策などについて聞いた。(舛田奈津子)
≪高カロリー≫
「女子児童のダイエットなどによる“やせ症”が注目されているが、肥満も高度成長期以降、増加している。塾通いやテレビゲームなどによる運動不足、外食の増加や高カロリー食など食生活の影響などが原因」と高谷医師は指摘する。
食べ過ぎによる単純性肥満と内分泌系疾患などの病気による肥満があるが、子供の肥満の九割以上が単純性肥満だ。
肥満の診断にはいくつかあるが、代表的なものにカウプ指数がある。〈体重(グラム)÷身長(センチ)の二乗×10〉を計算し、乳児であれば指数が20、学童であれば22以上は肥満となる。身長などを含めた成長曲線なども考慮するという。
≪運動不足≫
文部科学省の平成十七年学校保健統計調査によると、学校の定期健診で肥満と診断された六−十四歳は、昭和五十二年と比較して男女平均で一・五−二倍に。十二歳が最も多く10・42%(昭和五十二年は6・64%)。十一歳は10・23%(同6・46%)で十人に一人が肥満とされる。
ほかにも、十歳9・48%(同5・86%)▽十三歳9・25%(同5・63%)▽九歳8・83%(同5・26%)と全体的に増加傾向にある。
このため、厚生労働省は全国の五都道府県にモデル地区を選定し、学校や家庭が連携して、肥満児童を減らす「若年期肥満予防対策事業」への取り組みを検討している。五月初旬にはモデル地区が決定する予定で、平成二十二年までに小中学生の肥満を7%以下に減らす考えだ。
また厚労省は、心筋梗塞(こうそく)などにつながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を予防するため、小児も成人に準じて「ウエスト80センチ以上」で、血清脂質、血圧、空腹時血糖の二つで基準値を超える場合、同症候群とする診断基準を暫定的に設定している。
≪見直し必要≫
子供の肥満も成人と同様で、糖尿病や高血圧、動脈硬化、脳卒中などの病気の原因になり、通常は四十代以降にかかる病気に十−二十代でかかってしまう可能性が高くなる。
また、肥満の子供は高い割合で成人肥満になってしまう。
子供の肥満は、ほかにも運動能力低下、精神的影響によるひきこもり、いじめなどの問題を引き起こすことが少なくない。
無理なダイエットで、体調を崩したり、体脂肪量が多く筋肉量が少ない「ひ弱な肥満」になってしまうことも多い。
高谷医師は「朝食の欠食や牛乳の飲み過ぎ、塾前の食事代わりのジャンクフードなど問題は多い。家族全体で正しい食習慣や生活習慣を見直したり、食べ物のカロリーを気にしてみたりして、肥満を予防してほしい」と話している。
(2006/04/25)