産経新聞社

メタボリックシンドローム

【ゆうゆうLife】メタボリックシンドローム 生活改善の必要

糖尿病から動脈硬化も
高血圧、肥満症 合併で高まるリスク

 「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の診断基準は、心筋梗塞(こうそく)などの引き金となる動脈硬化を防ぐために作られました。内臓脂肪が多すぎれば、血圧や血糖などの数値がやや高めなだけでも要注意。メタボリックシンドロームに着目し、腹囲を測る医療機関も出はじめました。しかし、リスクを避けるには、患者自身が生活改善に取り組む意欲が必要です。

 「間一髪でしたね。親指の先の壊疽(えそ)は二週間でひざ下まで進むこともありますが、処置が早かったので切断せずに済みそうです」

 糖尿病のため壊疽を起こして「加藤内科クリニック」(東京都葛飾区)を訪れた初診の男性を診察しながら、加藤光敏院長が話す。

 同クリニックは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が専門。五十代後半のこの男性患者はもともと糖尿病で、脳梗塞で後遺症が生じた後、糖尿病の合併症である末梢(まつしよう)神経障害が起こった。このため、糖尿病のコントロールについてアドバイスを受けるために訪れた。

 生活習慣を変えれば、糖尿病による合併症の進行は遅らせることができる。しかし、患者自身や、かかりつけ医が糖尿病を軽んじて、病状が悪化してから専門医に駆け込む患者もいる。

 もうひとつ怖いのは、糖尿病患者に、動脈硬化を引き起こすタイプがいることだ。糖尿病や高血圧などの「生活習慣病」は、内臓脂肪型肥満が原因と考えられている。糖尿病のうえに、メタボリックシンドロームの診断基準である「腹囲」の大きい患者は、高血圧や高脂血症などがないか総合的に判断する必要がある。動脈硬化につながる危険性が高いからだ。

 同クリニックでは診断基準が決まったのをうけて、看護師らがこれまでに患者約九百人の腹囲を測った。「腹囲を測るにはおなかを出してもらう必要があるので、未病(みびょう)の段階では、なぜ測るのかを説明しないと難しい。まず『メタボリックシンドロームを聞いたことがありますか』という質問から始めて、説明すればたいていの人は了解します」と加藤院長。

 糖尿病は日本では近年、急速に増加し、厚生労働省の調査(平成十四年)では、約七百四十万人、糖尿病予備軍も合わせると約千六百二十万人とみられている。

 高血圧、肥満症などとともに生活習慣病と呼ばれ、厚生労働省が中心になって予防対策を取ってきた。しかし「生活習慣病は食べ過ぎや運動不足を解消すれば予防できるといっても、飽食の環境の中で軽く考えられてしまい、生活改善に取り組む動機づけとしては弱かった」と医療関係者は指摘する。

 一方、これらの病気の一つ一つは軽くても、複数持つと動脈硬化のリスクが高まることが、最近の研究で分かってきた。放置すると動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの命にかかわる病気につながる。

 こうした状態をメタボリックシンドロームと呼び、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など八学会が合同で一年前、診断基準を設定した。早く手を打って、心筋梗塞や脳梗塞を減らそうというわけだ。

 「世界的にも血管病の予防は大きな課題で、そのための最大のターゲットは内臓脂肪。内臓脂肪型肥満かどうかの第一のスクリーニングがウエストサイズです。予防は、病気の上流でやるほど効率がいい」

 メタボリックシンドローム研究の中心的な役割を果たしている松澤佑次・住友病院院長はこう話す。

 基準は、企業の診療所や保健所、かかりつけ医などで使いやすいものを−というねらいで作られた。しかし、健康診断などで腹囲の測定を行っている所は、まだ少ない。

 リスクの自覚があれば、腹囲の測定は自分でできる。診断基準を超えたとき、長年の食習慣を変えたり、慣れない運動を始めたりするのに必要なのも、やはり患者の意欲だ。

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 「ゆうゆうLife」では今後も随時、メタボリックシンドロームの診断方法や生活改善の方法などを紹介していきます。

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 ■メタボリックシンドローム

 http://www.metabolic/sankei.jp/

 ※Sankei Webからも入れます。

(2006/04/27)