産経新聞社

メタボリックシンドローム

【健康ライフ】STOP! メタボリックシンドローム(2−2)

慶応義塾大学医学部公衆衛生学教室・菊池有利子助手の社員食堂改革
3つに色分け、バランス良好

 働き盛りの男たちが、メタボリックシンドロームに陥らないために、どんな食改善法があるのか。仕事の合間に駆け込む社員食堂。そうした職域に四年間介入して、研究を続けてきた慶応義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室の菊池有利子助手に聞いた。

                  ◆◇◆

 生活習慣病予防のためにいかに循環器疾患のリスクを減らすか、滋賀医科大学福祉保健医学講座の上島弘嗣教授によって始められた、わが国初の集団全体に対する長期介入プロジェクト。菊池助手は全国六カ所の事業所のうち、東京都内の企業の社員食堂を受け持った。ハイリスクの社員に対する個人指導だけでなく、全体に働きかけて皆の健康状態を良い方向へ持っていく。そういう集団対策に一番介入しやすいところが社員食堂だった。

 社員食堂での食事は、三食のうち一食だが、とにかく一回は食習慣を是正して、それを持って帰れば、家庭内の“食育”にもつながる。まずは、おやじから訓練、社員食堂で“くせ”をつけようというわけだ。

 菊池助手らが取った戦略は、(1)社員食堂の環境改善(メニューなど)(2)自分自身(社員)の食行動を変える−の二点で、主な目標は、減塩、低脂肪、野菜の積極摂取、そしてバランスの取れた食事の普及とした。健康知識にもっとも役立ったのは、POPメニュー。「減塩は一日にして成らず」といった健康メニューを、週替わりで一口メモにして卓上に置いておくもの。

 食事バランスの実効が上がったのは、トレイの三色シート。主食は黄色、主菜は赤、副菜なら緑という具合に取り皿コーナーも色分けして準備完了。社員はコーナーの色とシートの色が合うように料理を選べば、三色(皿)そろい、グッドバランスというわけだ。その結果、「当初はラーメンとおにぎり、カレーにコロッケなどという人も見受けられた」(菊池助手)が、バランスシートをそろえると、グッドバランスが20%以上増えた。

 減塩対策として、ラーメンの汁を飲まずに、残ったコーンを食べたい人のために、穴空きスプーンを用意。調味料も一滴しょうゆ差しに変えることで、儀式のようにいっぱいかけなくて済み、使用量も十分の一に。中身も減塩しょうゆにすれば、さらに減塩できる。「調理師さんの舌加減で決めるのでなく、正確にみそ汁の塩分も測定し、適正塩分を提供するよう納得させる」(菊池助手)

 低脂肪はどうだったか。メニューから揚げ物を減らすのは、なかなか難しい。油物は冷凍でも長持ちするし、手間もコストも比較的かからない。それは家庭でも同じで、冷蔵庫の中身をみればわかる。採算を考えると無理はいえず、代わりに、マヨネーズやドレッシングを一周かけると何カロリーになるか表示するなどして脂質を控えさせ、お酢を勧めるキャンペーンも行った。「酢や薬味を加えたあえ物であれば、油や塩分を抑えることができる」と菊池助手。

 菊池助手は、フィールドワークとして減量を主にした健康教室も開いている。その際の経験を踏まえて、こう語る。

 「自分の体重や血圧、一日当たりの食事量など簡単でもいいから、まずは自分を分析してほしい。その上で実行できるところから目標を立て、無理のない生活改善をしていくのがベストです。働き盛りの男たちへひとこと、“今の自分”ではなく、“これからの自分”のために、良い食習慣を身につけることが大事だと思いますよ」

                   ◇

【プロフィル】菊池有利子

 きくち・ゆりこ 東京農業大学卒業、管理栄養士。慶応義塾大大学院研究博士課程入学、博士号を取得し、現職。「メタボリックシンドローム撲滅委員会」のオブザーバー委員を務める。

                   ◇

≪「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます≫

 産経新聞社では、官界、メディア、医学界、産業界が一体となった「メタボリックシンドローム撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます。詳しくはメタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(www.metabolic-sankei.jp)に掲載されています。

 【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイビジネスアイ

 【後援】厚生労働省、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会、日本心臓病学会、日本臨床内科医会、日本歯科医師会、日本歯科医学会、日本歯周病学会、健康・体力づくり事業財団、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本栄養士会、日本製薬工業協会

 【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 春日雅人・神戸大学医学部付属病院長(日本糖尿病学会理事長)、藤田敏郎・東京大学大学院教授(日本高血圧学会理事長)、北徹・京都大学理事・副学長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学医学部付属病院長(日本肥満学会副理事長、日本動脈硬化学会副理事長)、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長

                   ◇

 ご意見・お問い合わせ等は、郵便もしくはFAXで。《〒100−8079 産経新聞メタボリックシンドローム撲滅実行委員会事務局》(FAX03・3243・1800)まで。

(2006/04/27)