産経新聞社

メタボリックシンドローム

【達人の道案内】岸朝子の心にもおいしく 脱メタボリックシンドローム

沖縄の医食同源に学ぶ

 「メタボリックシンドローム」。去る五月九日の朝、産経新聞の一面に大きな活字が躍った。聞き慣れない言葉であるが中高年男性の半数は、この「内臓脂肪症候群」かその予備軍であるということだ。

 厚生労働省の平成十六年国民健康・栄養調査の発表によるもので、腹囲(ウエスト回り)が男性は八五センチ以上、女性九〇センチ以上で、高脂血症、高血圧、高血糖の三つのリスクのうち、二つ該当する場合を有病者、一つだけ該当する場合を予備軍と定義したとある。

 男女とも、四十歳以上で有病者、予備軍ともに割合が高くなり、四十歳から七十四歳では男性の25・7%が有病者、予備軍をあわせると51・7%で二人に一人が該当する。女性は有病者が10・0%、予備軍をあわせると19・6%にで五人に一人の割合だ。

 この記事を読んで「やっぱり」とかねてから心配していた私は、思ったとおりの現実にそら恐ろしくなった。

 戦前は「人生五十年」といわれていた日本が世界一の長寿国になったのは一九八五(昭和六十)年。その日本の中で、私の両親の出身地、沖縄県は男女ともに一番の長寿とあって、世界一長寿地域の宣言をしたものである。

 現在でも男女合わせての平均寿命は日本一であるが、男性に限ると十年ほど前から長野や福井に抜かれて二十六位に転落した。

 年齢別でみると三十五歳から四十四歳までの男性は、なんと四十七位。つまりワーストワンとなっている。これは戦後二十七年間、アメリカの施政下にあり、動物性脂肪や高塩分の味に慣れる一方で、伝統の長寿食をとらなくなった食生活と、地下鉄も電車もなく車をげたがわりに使うアメリカ風の生活による運動不足が原因となっていると考えていた私は、あと十年もしたら本土にもその影響がみられるのではないかと思っていたからだ。

 沖縄では食事のあと「クスイナタン(薬になりました)」というように、医食同源の思想があり、その土地でとれる食べ物を食べてきた。

 「沖縄の土と光と水を食す」というコンセプトで、沖縄本来の生命力のある島野菜をとり寄せてもてなす店が赤坂にある。

 東京都出身の女主人、高木凛さんが病のあと、沖縄の島々をめぐって出会った素材の個性を生かした料理を、素朴であるがおしゃれな雰囲気の中でもてなしてくれる沖縄懐石の店「赤坂潭(たん)亭」だ。

 「命は食にあり」と信じて料理記者歴五十年を迎えた私は、戦後の飢えの時代から飽食の現代まで食生活の流れを見てきた。

 流されまいとあがらっても流されやすいのが人間だ。そんなとき、潭亭のランチ(三千八百円より)で食の原点に戻ってみることをお勧めしたい。

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 ■赤坂潭亭 

 港区赤坂6の16の11 浜ビル地下1階。TEL03・3584・6646。営業時間正午−午後3時、午後6−11時。要予約。年末年始のみ休業。

(2006/05/17)