高齢者の負担増や入院日数の短縮などで医療給付費の抑制を図る医療制度改革関連法案は13日、参院厚生労働委員会で与党の賛成多数で可決された。長期療養用ベッドの削減にあたり、介護施設に転換できるよう必要な措置を講じることなど、21項目の付帯決議もなされた。同法案は14日の参院本会議で成立する運びで、早いものは10月から実施される。新制度でどう変わるのか解説する。
増え続ける高齢者医療費が若者世代の過度な負担とならないよう、高齢者本人にも能力に見合った負担を求める。75歳以上から原則的に保険料(全国平均月6200円)を徴収する新たな高齢者医療制度を、平成20年度に発足させる。患者窓口負担についても、70〜74歳の負担率を、現行の1割から2割に引き上げる。現役並み年収(現在は夫婦で621万円以上)がある70歳以上は、10月から現役世代と同じ3割に統一される。
■子供に手厚く
がん手術などの高額医療費の自己負担限度額は、現役世代を含め引き上げられる。現役世代は、月額「定額7万2300円プラス限度額を超えた医療費の1%」のうち、定額の部分が8万100円になる。また、70歳以上の一般年収の人は、月額4万200円が4万4400円となる。
長期療養入院患者の食費と部屋代(光熱水費相当分)も70歳以上は10月、65〜69歳は20年度から自己負担となる。
少子化対策としては、出産育児一時金が10月から5万円アップの35万円に増額。乳幼児の窓口負担率の軽減措置(2割負担)は、20年度に、「3歳未満」から「小学校入学前」へ拡大される。
■在宅シフト
医療費抑制のために、患者の不要な入院を減らし入院日数を短縮する。地域の「かかりつけ医」や看護師、ケアマネジャーらが中心となって患者の治療計画を共有し、退院後も切れ目のない医療を受けられるようにする。
また、容体が急変したとき病院にただちに戻れるようにするなど、医療機関の連携体制を強化。終末期患者を含め退院しやすい環境も整える。
長期療養入院用のベッドも減らす。現在、医療保険が適用される医療型ベッド25万床、介護保険適用の介護型ベッド13万床の計38万床があるが、23年度末までに介護型を全廃し、医療型も15万床に絞り込む。
都道府県ごとに在宅看取(みと)り率などの数値目標を盛り込んだ医療計画を策定する中長期的取り組みも行う。
■予防に重点
生活習慣病の温床である「メタボリックシンドローム」(内臓脂肪症候群)に照準を合わせ、20年度から国民健康保険や健康保険組合に、扶養家族を含む40歳以上の健康診断を義務付ける。「要治療」と診断されれば受診を、予備軍には食事教室への参加など生活習慣の改善を促す。
一方、中小企業サラリーマンなどが加入する政府管掌健康保険(政管健保)を公法人化し、都道府県単位の財政運営に変える。これに伴い、現在は全国一律の保険料率を都道府県ごとに設定する仕組みに変更する。
自営業者などの国民健康保険は、財政強化や保険料の平準化のため都道府県単位の共同事業化を推進。健康保険組合も、小規模で財政が厳しいところは同一都道府県内で企業、業種を超え統合することが認められる。
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■医療制度改革のスケジュール
【平成18年10月】
・現役並み年収の70歳以上の患者窓口負担率を、2割から3割に引き上げ
・70歳以上の長期入院患者の食費と部屋代(光熱水費相当)を自己負担化
・高額医療費の自己負担限度額を引き上げ
・出産育児一時金を30万円から35万円に引き上げ
【20年4月】
・70〜74歳の患者窓口負担率を、1割から2割に引き上げ
・乳幼児の窓口負担率2割の対象を、3歳未満から小学校入学前に拡大
・75歳以上の全高齢者から保険料を徴収する新たな高齢者医療制度を創設
【20年10月】
・政府管掌健康保険(政管健保)を公法人化
【24年4月】
・介護型療養病床を廃止
(2006/06/14)