理化学研究所特別招聘研究員 阿部岳博士のスズメバチ研究
脂肪を燃やす秘密の栄養液
運動効果の神髄は、いかに効率よく脂肪を燃焼させるか。スズメバチの生態研究から、こうした問題にも取り組んでいる理化学研究所特別招聘(しょうへい)研究員の阿部岳博士に聞いた。
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節足動物の中で、スズメバチは一番進化しています。それは人間社会のように社会性を持った生活をしていることでもわかる。よく調べてみると、親は捕ってきた虫を団子にして幼虫に与え、その際に幼虫から栄養液を吸い取っていることがわかりました。成虫は胴が極端にくびれて、食道が絹糸のように細いため固形食は食べられないので、幼虫が出す栄養液で生き長らえています。
スズメバチの運動能力はずば抜けていて、例えばあの小さな翅(はね)の飛翔(ひしょう)力は、人に例えれば、1日に名古屋まで飛ぶ距離に匹敵します。そうした筋力を培うエネルギーはどうやって作り出されるのか。通常、生物は脂肪を潤沢に燃やせれば、たくさんのエネルギーが得られます。しかし、脂肪は燃えにくく、糖が燃えやすいため、乳酸という疲労物質が筋肉の中にたまります。すべての生物に共通して、貯蔵脂肪は分解しにくいものです。スポーツ選手が記録が伸びずに悩むのもこの点です。ところがスズメバチは脂肪を燃やしやすく、乳酸を発生しにくくしている。幼虫のときに蓄えた脂肪を成虫になってから燃やしているのです。
そこで、スズメバチが幼虫からもらう栄養液をよく調べると、脂肪を分解しやすい作用のあることがわかりました。つまり、成虫の体の中に蓄えられている脂肪を少しずつ分解してエネルギーの足しにしていたのです。その栄養液は、アミノ酸組成物「V.A.A.M.(Vespa Amino Acid Mixture)」(スズメバチアミノ酸混合物の頭文字をとった略語)を主成分としていました。
V.A.A.M.の機能を調べるためにいくつかの動物実験を行いました。ネズミにその組成物を飲ませて泳がせる実験をしたところ、ミルクのアミノ酸栄養分を飲んだネズミと比べ、V.A.A.M.を飲ませたネズミの方が、約1・3倍長い時間泳いだのです。同時に行った血液検査でもV.A.A.M.のネズミは血糖値が一定に保たれ、疲労物質の乳酸値が非常に低かったのです。これは、やはり脂肪が燃えやすくなっている証しでした。
つまり、V.A.A.M.が、脂肪燃焼を促進すると同時に乳酸もたまりにくくしていました。長時間走るマラソン選手などは普通、ブドウ糖が枯渇して低血糖となるため、糖をエネルギー源としている脳の細胞にも悪影響を与え、意識がもうろうとしてくることがよくあります。そうしたときにV.A.A.M.なら脂肪をよく燃やし、より大量のエネルギーを作り出してブドウ糖の消費を少なくすることもできるのではないか。疲労も軽減できるのではないか、と考えました。マラソン選手などに、このV.A.A.M.を含む機能性飲料がよく使われているのも理由があってのことです。
これと同じように、脂肪がたまりやすい典型であるメタボリックシンドロームの人には、V.A.A.M.が示す、運動の際の脂肪燃焼促進・疲労軽減の特性が、継続して摂取すると、内臓脂肪の減少に役立つと思います。
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【プロフィル】阿部岳
あべ・たかし 東大医学系大学院終了。保健学博士。米国立衛生研究所(NIH)研究員を経て、昭和51年から理化学研究所先任研究員などを務める。
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■「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます
産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(www.metabolic-sankei.jp-)に掲載されています。
【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ
【後援】厚生労働省、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本肥満学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本心臓病学会、日本血栓止血学会、日本臨床内科医会、日本歯科医師会、日本歯科医学会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、健康・体力づくり事業財団、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本栄養士会、日本製薬工業協会、サンケイリビング新聞社、扶桑社
【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 春日雅人・神戸大学医学部付属病院長(日本糖尿病学会理事長)、藤田敏郎・東京大学大学院教授(日本高血圧学会理事長)、北徹・京都大学理事・副学長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学医学部付属病院長(日本肥満学会副理事長 日本動脈硬化学会副理事長)、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長
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(2006/06/16)