産経新聞社

メタボリックシンドローム

【飽食社会への警告】第3部(7)中村丁次・日本栄養士会会長に聞く

目指せ!! 1日1500キロカロリー

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は、食事制限と運動量の増加でかなり食い止められる。適切な食事療法はどこがポイントか。日本栄養士会会長の中村丁次・神奈川県立保健福祉大学教授に聞いた。

 −−食事でメタボリックシンドロームを防ぐには

 この症候群は内臓に蓄積される脂肪が悪さをする。体内の脂肪が、なぜ内臓脂肪と皮下脂肪に分かれて蓄積するのか、食生活で蓄積の仕方が違うのかなど、まだよくわからない。ただ、内臓脂肪の方が皮下脂肪よりも落としやすいのは好都合だ。適度な運動と食生活を見直すことで、内臓脂肪は確実に減らすことができる。

 −−減量する場合、1日の食事量の目安は

 1日に1200キロカロリー以上とらないと、体に必要な栄養素はとれない。1200キロカロリーぎりぎりだと、ビタミンやミネラルが必要量確保できない可能性があるので、1500キロカロリーを目安にするといい。

 −−どれぐらいの量が1日1500キロカロリーなのでしょう

 毎食ご飯を茶碗(ちやわん)1杯またはパン2枚と、野菜1、2品。これに加えて1日に卵1個、魚1切れ、肉を60グラムから80グラム、豆腐を3分の1丁、牛乳コップ1杯、果物150グラム。これでだいたい1500キロカロリーだ。運動をどれぐらいするかどうかにもよるが、男性ならご飯を毎食2杯にして、1日2000キロカロリーでも減量できると思う。

 −−毎食カロリーを考えるのは難しいですね

 簡単にできる方法として、1日の食事を写真で撮ってみればいい。そして、撮影した写真を夜寝る前にチェックする。写真の食事と、先ほどの1500キロカロリーの食事と比べると、ずれているところがあるはずだ。このずれをみつけて改善していく。食事内容を客観的にみることで、自分にとって何が不足していて何が多いのか分かってくる。

 −−足りない分をサプリメント(健康補助食品)で補ってもいいのですか

 外食が多くて野菜をなかなかとれない人は、サプリメントで栄養素を補った方がいいだろう。ビタミン、ミネラルは約30種類あり、どれが不足しているかは栄養士さんなどにアドバイスを受ける必要があるが、全種類を含んだサプリメントもあるので、それなら確実に摂取できる。

 −−メタボリックシンドロームは中高年男性に多いが、食事内容でこの世代に共通する問題は

 中高年だけではないが、ご飯を食べずにおかずばかり食べる人が多い。これがいい食事と思いこんでいる。日本ではかつて、主食偏重による白米の食事でかっけなどビタミンの欠乏症になる人が多かったため、「ご飯よりおかずを食べろ」と指導した時期があった。おかずばかり食べると、今度は糖質が不足してしまう。その結果、高脂肪食になれば、動脈硬化になりやすくなるし、高タンパク質食だと腎臓に負担がかかる。糖質、タンパク質、脂質を合わせて「3大栄養素」と呼ぶが、この3つをバランスよくとることが大事だ。

 −−これまでもいろいろなダイエット法がありました

 米国の研究者で世界中のダイエット法を調べた人がいて、全部で2万種類くらいあったそうだ。そのうち3分の1が虚偽で、3分の1が栄養不足による健康障害が起こる可能性のある危険な方法と指摘している。最後に「これだけダイエット法があるのに肥満が減ったという話を聞いたことがない」と痛烈な批判をしていた。確かに米国など先進国で肥満は減っていない。メタボリックシンドローム対策により、日本で肥満を減らすことができたら、世界的に注目されることになるのではないか。(第3部おわり)

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 この連載は、柳原一哉、平沢裕子、坂口至徳が担当しました。

(2006/07/12)