産経新聞社

メタボリックシンドローム

【健康らいふ】STOP!メタボリックシンドローム 中性脂肪に潜む危険(2)

フィブラート系薬剤の大規模臨床試験 中性脂肪、早期治療を提唱

 中性脂肪のコントロールが、どこまで有効なのか−。メタボリックシンドロームと絡むフィブラート系薬剤の大規模臨床試験が注目されている。高脂血症の専門家である帝京大学医学部内科の寺本民生教授に最新情報などを聞いた。

                  ◇ 

 フィブラート系薬剤のフェノフィブラートは、フランスで開発され、古い歴史がある。高中性脂肪血症の患者全般に使われ、実際に、どんな患者でも中性脂肪を30〜40%下げる効果があることがわかっていた。

 しかし、中性脂肪を下げることが動脈硬化、ひいては心血管病の予防にどうつながるのか。その対象に、中性脂肪が増加しやすい2型糖尿病患者を選んだのは、日本に限らず、全世界で2型糖尿病が増え続けている現状に加え、高脂血症治療の立場から、そういう人たちの発症防止に向けて、的確な治療を確立する目的があったからである。

 豪州、北欧など多国籍、大勢の2型糖尿病患者が参加した、その大規模臨床試験「FIELD」は、試験開始から5年後の昨年11月、米国心臓協会(AHA)で結果発表を行った。

 特に心筋梗塞や脳卒中の既往歴のない患者において、心筋梗塞などの心臓病のイベント(発作)に関しては、フィブラート(フェノフィブラート)群は、プラセボ(偽薬)群に比べ25%。これに脳卒中などを含めた全心血管病にわたるイベントでは、有意に19%抑制し、糖尿病合併症の網膜症や腎症など、いわゆる細小血管症にも有効だった。驚くことに網膜症については、レーザー治療の頻度が30%減となった。

 一連のこうした結果について寺本教授は、「糖尿病患者の中性脂肪低下、HDLコレステロール上昇が心血管イベントを抑制することを初めて立証したことになる。脂質異常が軽度であっても、早期から中性脂肪などの治療を行うべきだ」と語る。

 フェノフィブラートは、どのように中性脂肪を低下させるのか。1990年代後半に明らかになったそのメカニズムを一言でいうと、フィブラートが、細胞核内の受容体「PPARα(ピーパー・アルファ)」に結合し、脂質代謝にかかわるタンパク質の産生を調節するからである。肝臓では、中性脂肪の原料を分解する酵素(タンパク質)を増やすとともに、血液中では、中性脂肪を分解する酵素も増やすことで、中性脂肪を強力に低下させる。

 その一方で、PPARαが活性化すると、善玉のHDLの合成も進み、うまい具合に中性脂肪の双方とも好転してくる。「フィブラートは、LDLにダイレクトに作用するスタチンと違って、ある意味でワンクッション置いている。強烈に効くわけではないが、中性脂肪を下げることによって、スモール・デンス・LDLを少なくしていく」と寺本教授。

 スモール・デンス・LDLが多くなるような背景を持っている人たち、つまり動脈硬化になりやすい2型糖尿病の患者やメタボリックシンドロームの人たちには、特に効果が出てくるともいえるわけだ。

 「今回、糖尿病では、やはり早期に中性脂肪に介入していかなければいけないことが結果的にわかったが、メタボリックシンドロームも糖尿病の前段階と考えて、積極的な治療を考慮する必要があるかもしれない、そういう確かな知見も得られたわけです」

(2006/07/14)