産経新聞社

メタボリックシンドローム

日本発 肥満研究を評価 松澤氏に学会最高賞

 【シドニー=坂口至徳】第10回国際肥満学会が3日、オーストラリア・シドニーで始まった。学者、研究者ら約3000人が参加。8日まで、世界的な課題の肥満対策や生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)などについて討議する。

 今回は、学会最高賞のヴィレンドルフ賞が、日本肥満学会理事長の松澤佑次・住友病院長(大阪大学名誉教授)に贈られる。また、優れた基礎医学の研究に贈られるヴェルトハイマー賞を、国立循環器病センター研究所の寒川(かんがわ)賢治副所長が受賞する。日本人の受賞はいずれも初めて。

 松澤氏は、脂肪組織が内臓にあり、動脈硬化に関連するタンパク質を分泌することを突き止め、従来の医学の概念を変えた。寒川氏は、食欲高進やエネルギー代謝などさまざまな生理作用があるホルモン(グレリン)を発見した。

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 ■1問1答 「アジア各国と情報交換」

 肥満学の国際賞であるヴィレンドルフ賞は、4年に1回、優れた研究成果に贈られる。日本人として初めて受賞する松澤佑次氏に聞いた。(坂口至徳)

 ――日本独自の研究が受賞の理由になっていますね

 「日本発の研究が世界で認められてありがたいと思っている。研究を始めた1980年代は、海外の学者から『日本に肥満者はいないのに、必要な研究ですか』とまでいわれた。欧米では体重200キロという高度な肥満者が多く、日本人の体格を見てそう思ったのでしょう」

 ――目立った肥満者が少ない状況が逆に新発見に結びついた?

 「見かけ上、太っていなくても糖尿病など肥満者特有の症状を起こす患者がいる。腸など内臓の周囲に蓄積する脂肪が悪さをしている。つまり、脂肪の付き方というデリケートな問題だった。当時、CT(コンピューター断層撮影)で撮影した内臓脂肪の画像を切り張りして断面積を算出するなど、地道な研究に取り組んだ大阪大グループが評価されたと思っている」

 ――この成果が、メタボリックシンドロームの判定基準などにも結びついたが、今後の展開は

 「中国などアジアの国々は、過栄養、運動不足という日本と同様の状況になりつつある。欧米とは異なったアジアの肥満について情報交換を盛んにしていきたいと思っている」

(2006/09/04)