生活習慣病の予防を期待できる健康食として、大麦が注目されている。大麦には精白米や玄米より多くの食物繊維が含まれているうえ、血糖値やコレステロール値を下げる効果があるとされる。工夫次第では、麦飯ばかりでなく、主菜や副菜、デザートにもなる万能な食材。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が気になる人も、食事に取り入れてみてはいかがだろう。(頼永博朗)
■植物繊維20倍
大麦には精白米の20倍、玄米の6倍の食物繊維が含まれている。この食物繊維には、水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性の2種類があり、水溶性には血糖値やコレステロール値を下げる働き、不溶性には大腸疾患などの予防効果があるといわれる。大麦には、水溶性、不溶性がバランスよく含まれている。
大妻女子大学家政学部教授、池上幸江さんの研究によると、高脂血症の男性20人が1日2回の麦飯を2週間、食べ続けたところ、血液1デシリットル当たり276・2ミリグラムあった総コレステロールが249・5ミリグラムまで低下。閉経後の女性にも、同様の結果が出た。
また、日本生活習慣病予防協会理事長の池田義雄さんによると、刑務所に服役している糖尿病の男性受刑者に米7、大麦3の割合で麦飯を出したところ、血糖値が大幅に下がったという。
■血糖値低下
日本の厚生労働省にあたる米国食品医薬品局(FDA)は、大麦に含まれる水溶性の食物繊維「β(ベータ)−グルカン」が、血糖値を上がりにくくしたり、血中コレステロールを下げたりする働きを持っている、と判断している。
今年5月には、大麦と大麦を含む食品に対し、コレステロールによる心疾患の抑制を促すといった理由から、摂取すると病気のリスクを軽減させる可能性があるという表示を正式に許可。大麦の健康機能を米国政府が認めたことで、日本でも注目を集めている。
池上さんは「メタボリックシンドロームは肥満を原因として高血圧や糖尿病、高脂血症などとかかわる疾患。米国の研究などから、大麦にメタボリックシンドロームを予防する効果がある可能性は十分に考えられる」と話す。そのうえで、「日本人は穀類をとる量が少なくなり、食物繊維の摂取量も減っている」と、米8、大麦2の割合で食べることを勧める。
■料理も簡単
「大麦は料理の初心者も簡単に利用でき、いろいろな食材と合わせて楽しめます」。こう話すのは、管理栄養士で「食デザイナーズ」主宰の平野美由紀さん。大麦を使った手軽な料理を2品紹介してもらった。
1品目は「大麦麻婆豆腐」。ひき肉の代わりに、ゆでた押し麦(ボイル大麦)を使うのが、平野さん流。「大麦は加熱するとネバネバした感じが出るので、使う油の量が比較的少なくて済む。食べ応えがありながら、ヘルシーな料理です」
2品目は「ピンク大麦のフルーツパンチ」。液体を吸収する大麦は好みの色をつけやすい。「見た目のきれいさを演出できます。プチプチした食感が楽しめ、デザートもよくかむことで味わいが増します」。子供には、赤ワインの代わりに果物ジュースを使えばいい。
大麦は水で炊くだけでも食べられる。平野さんは「ゆでてストックしておくと便利。洗わずにそのまま倍量の水を加え15分加熱すれば、後は水気を切って冷まし、容器に入れて冷蔵庫で保存するだけ」と勧めている。
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■簡単〜レシピ!
★大麦麻婆豆腐
【材料(2人分)】
《麻婆みそ》ゆで押し麦(大麦)…200グラム▽ニンニク(みじん切り)…1かけ▽油…大さじ1▽鶏ガラスープの素、豆板醤、甜麺(てんめん)醤…各大さじ1
《麻婆豆腐》麻婆みそ▽豆腐…1丁▽鶏ガラスープ…スープの素小さじ1+湯300cc▽酒、しょうゆ…各大さじ1▽長ネギ(4つ割り)1センチ幅…1/2本▽水溶きかたくり粉…かたくり粉大さじ1+水大さじ2▽ゴマ油…大さじ1▽花椒…適宜
【作り方】
《麻婆みそ》
〔1〕中華鍋に油とニンニクを入れ、いためて香りを出して、ゆで押し麦を加えていためる。
〔2〕鶏ガラスープの素、豆板醤、甜麺醤を加えて30秒ほどいためる。
《麻婆豆腐》
〔1〕2センチ角に切った豆腐を下ゆでする。
〔2〕麻婆みそに(1)の豆腐、鶏ガラスープ、酒、しょうゆを加え、弱火で煮込む。
〔3〕長ネギを加えて水溶きかたくり粉でまとめる。
〔4〕強火にしてゴマ油と、好みで花椒を加える。
〔5〕器に盛りつけ、花椒をかける。
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★ピンク大麦のフルーツパンチ
【材料(4人分)】
ゆで押し麦…大さじ4▽赤ワイン…大さじ2▽グレープフルーツ(ルビー)…1/2個▽オレンジ…1/2個▽炭酸入りリンゴジュース…400cc▽セルフィーユ…適宜
【作り方】
〔1〕ゆで押し麦と赤ワインを合わせる。フルーツは一口大に切る。
〔2〕器に(1)を盛りつけ、冷やした炭酸入りリンゴジュースを注ぎ、セルフィーユを飾る。
(2006/11/24)