産経新聞社

メタボリックシンドローム

【健康らいふ】メタボリックシンドローム 「長寿国・日本」が危ない!(2−2)

 −−コレステロールも、当然、大事だと

 一番わかりやすいのは、動脈硬化というのは、基本的に動脈の壁にコレステロールがたまる病態なわけです。ではなぜメタボリックシンドロームでコレステロールがたまるかというと、内臓脂肪がたまって中性脂肪が高くなると、善玉のHDLコレステロールが低くなります。本当は中性脂肪そのものが問題なのではなくて、中性脂肪が高いと、どうも中性脂肪の裏に潜む超悪玉「スモール・デンス・LDL」を増やすことにも関係してくる。スモール・デンス・LDLは、血中に潜り込んでたまり、動脈硬化のアテローム状態を作り出すことになる。つまりLDLは最終的にはコレステロールの運搬役を果たし、動脈硬化の誘因を作っているのです。

 −−糖尿病に関しては

 糖尿病の人が動脈硬化を起こすときには、高血糖の状態にあり、その場合、先ほどのスモール・デンス・LDLが「装飾」を受けて変化する。装飾という現象を言い換えると、LDLに糖がくっつくのです。すると、糖が酸化されやすい状態になり、それが動脈壁にたまることになる。だから、糖尿病の人も最終的には、LDLを介した形で動脈硬化を引き起こすことになるのです。動脈硬化で一番はっきりしているストーリーは、LDLだと思います。LDLがすべてに対して影響を与えていると考えた方がいい。

 −−要するに、LDLは動脈壁にコレステロールを運んでいる

 通常のLDLでも血中に運び込むことができるが、大抵は酸化されてさび付き状態になり、血管にたまっていくことになる。ところが、中性脂肪が高いと、スモール・デンス・LDLができやすくなり、これは、放っておいてもどんどん酸化されて血管壁にたまっていく。本来のLDLよりさらに酸化されやすいことからコレステロールを一層多く運び込むことになる。だから最終的には、やはりLDLとしてコレステロールを運び込んでいるということですね。

 −−「高LDL血症」の人は

 確かに、メタボリックシンドロームの診断基準の中にLDLは入っていないが、例えば、メタボリックシンドローム、プラス高LDL血症という人もいるわけです。高LDL血症の人がメタボリックシンドロームになる可能性もある。これらは、LDLを動脈壁にためる作用をより強くすることになるので、二重にリスクが重なって一番危険な状態。そういう場合は、やはりきっちりと、LDLを下げてあげた方がいい。実際、従来の臨床試験でも、メタボリックシンドロームに加えLDL高値の人には、LDLだけ下げても、きちんと動脈硬化が予防できるという結果も出てきています。メタボリックシンドロームはいくつものリスクが重なっているわけだから、きちんと治療するのはむろんのことですが、LDLが高ければ下げてあげましょうというのが、本質的な考え方だと思うのです。

 −−「メガスタディー」というスタチン系薬剤を使った大規模臨床試験がありましたね

 真新しい試験結果が出てきたわけではないが、コレステロールを下げる効果を調べた調査で日本の患者さんのデータとして出てきたということは重要なことだと思います。欧米では、LDLを下げることによって、30%ぐらい動脈硬化の予防効果があるという試験結果が出ているが、「メガスタディー」のように、日本でもまったく同じようにしてLDLを下げるとそれだけの効果が出てくるというのは、科学的にも大変興味深い。やはりLDLの持つ威力はすごいということですよ。「高脂血症」という言葉がなじみ深くなってはいますが、米国では、最近、高中性脂肪、低HDL血症、それに高LDL血症なども含め、すべてを網羅する形で、「脂質異常(dyslipidemia)」という言葉で統一し始めています。脂質のおかしな摂取の仕方が、LDLやメタボリックシンドロームを巻き込んでくる。動脈硬化も、心筋梗塞という形で日本人にも徐々に忍び寄ってきています。「脂に気をつけろ」というのは、永遠の課題なのですね。

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【用語解説】メガスタディー

 「コレステロール低下剤による心血管系疾患の抑制」を確かめる目的で、スタチン系薬剤(プラバスタチン)を用いて、高脂血症患者7832人を対象に11年間かけて行われた日本独自の大規模臨床試験。昨年11月発表された結果では、欧米と同様、日本においても3割の抑制効果が確認された。コレステロールを下げるとがんになるという一部うわさもあったが、これを払拭(ふっしょく)した試験としても意義がある。

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【プロフィル】寺本民生

 てらもと・たみお 東京大学医学部卒業。同大学付属病院第1内科、シカゴ大学留学、東京大学第1内科医局長、帝京大学第1内科助教授などを経て、平成13年、同大医学部内科主任教授。日本内科学会・日本動脈硬化学会理事、日本肥満学会評議員など。

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 ■「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます。

 産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(http://www.metabolic−syndrome.net/)に掲載されています。

 【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ

 【後援】厚生労働省、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会、日本心臓病学会、日本医師会、日本臨床内科医会、日本歯科医学会、日本歯科医師会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、日本CT検診学会、日本健康運動指導士会、健康・体力づくり事業財団、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本栄養士会、日本薬剤師会、日本フィットネス産業協会、日本製薬工業協会、サンケイリビング新聞社、扶桑社

 【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 春日雅人・神戸大学医学部付属病院長(日本糖尿病学会理事長)、藤田敏郎・東京大学大学院教授(日本高血圧学会前理事長)、北徹・京都大学理事・副学長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学医学部付属病院長(日本肥満学会副理事長、日本動脈硬化学会副理事長)、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長

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 ご意見・お問い合わせ・情報等は、郵便もしくはFAXで。《〒100−8079 産経新聞メタボリックシンドローム撲滅実行委員会事務局》(FAX03・3243・1800)まで。

(2006/12/22)