産経新聞社

メタボリックシンドローム

【健康らいふ】メタボリックシンドローム 「栄養成分表示」義務化を(2−2)

 ■怖い「食後高血糖」 消化吸収遅らす水溶性食物繊維に注目

 −−食後高血糖を改善するには

 基本的には、メタボリックシンドローム対策と同様に、食事摂取に気をつけて運動療法などで筋肉の糖代謝を活発にし、インスリン抵抗性の悪化を未然に防ぐことに尽きる。食べる量を減らしてもいい。軽症なら、インスリンの出遅れやインスリン抵抗性を改善すると食後血糖値も下がってくる。そうした作用を示す薬もあります。もう一つ、糖の吸収を抑える方法がある。血糖が高くなると腸の粘膜のひだが高くなってきて、非常に吸収しやすい状態になる。だから、吸収を遅らせる「α−GI薬(グリコシダーゼ阻害剤)」を使うとよく効くのです。

 −−消化・吸収を抑えるときには

 糖が体内に摂取されると、腸内ででんぷんなどの多糖類から砂糖などの2糖類、そしてブドウ糖・果糖の単糖類に分解されて初めて吸収されます。「α−GI」は、そうした糖質の分解を阻害して食後の急激な血糖の上昇を抑えることができます。

 水溶性食物繊維のひとつである難消化性デキストリンにも同じような働きがあり注目されている。血糖値に対する効果はすでに報告されているが、昨年の日本肥満学会で発表された「難消化性デキストリン」の内臓脂肪に対する臨床試験では、腹囲径や内臓脂肪の有意な減少、血清中性脂肪の低下をもたらし、メタボリックシンドロームの改善にも役立つことが明らかになっている。

 −−そういえば、糖が上がりにくい「低グリセミック・インデックス(GI)食」というのがありましたね

 うどんとそばを比べると、そばの方が明らかに血糖が上がりにくい。米なら精白米より玄米。精白すると炭水化物がむき出しになって、すぐ消化吸収されるからです。食後高血糖が問題となってきた今、同じカロリーの食事でも、繊維の多いものを食べ、精製されたものより精製されていないものを選び、よくかんで食事をすることが、ダイエットとからめて注目されているのです。

 −−生活習慣の改善には、どんな対策があるのか

 結局、(糖尿病などの)栄養治療や食品の栄養指導をもう1回考え直さなければいけない時期にきているわけです。GI(グリセミック・インデックス)を考慮した食品や豆類・野菜・精製しない穀物など健康によいものをもっと口にできるように。もう一つ重要なのは、フードラベリング。特に弁当類などの食品に「栄養成分表示」を義務化すること。脂肪の割合・総エネルギー量・塩分量を明示することが重要です。レストランのメニューもそうあるべきです。それを見て誰でも栄養成分量がわかり、関心を持っていただくことが重要なことなのです。

 つまり、健康に関連した社会環境を整備すること。メタボリックシンドロームや糖尿病は、現代のライフスタイルと極めて密接に関連しており、その予防には多くの困難があります。最終的には、健康というのは自分で意識しないと自分で変えられないわけです。何をしなければいけないか、具体的な教育モデル・プログラムが必要であるとともに、健康増進のための基盤整備が重要なことなのですね。

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 【「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます】

 産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(http://www.metabolic−syndrome.net/)に掲載されています。

 【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ

 【後援】厚生労働省、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会、日本心臓病学会、日本医師会、日本臨床内科医会、日本歯科医学会、日本歯科医師会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、日本CT検診学会、日本健康運動士会、健康・体力づくり事業財団、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本栄養士会、日本薬剤師会、日本フィットネス産業協会、日本製薬工業協会、サンケイリビング新聞社、扶桑社

 【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 春日雅人・神戸大学医学部付属病院長(日本糖尿病学会理事長)、藤田敏郎・東京大学大学院教授(日本高血圧学会前理事長)、北徹・京都大学理事・副学長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学医学部付属病院長(日本肥満学会副理事長、日本動脈硬化学会副理事長)、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長

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 ご意見・お問い合わせ・情報等は、郵便もしくはFAXで。《〒100−8079 産経新聞メタボリックシンドローム撲滅実行委員会事務局》(FAX03・3243・1800)まで。

(2007/01/19)