産経新聞社

メタボリックシンドローム

【健康らいふ】メタボリックシンドローム 増える急性心筋梗塞(2−2)

 ■日本人の体質変化 小児期から生活習慣改善必要

 −−こうした冠動脈疾患の予防戦略というと

 まず、発症する前に予防することが大事です。例えば、心筋梗塞になって病院に着く前に亡くなられる人が、死亡の半数に上ることが統計にもあります。発症前の1次予防でないと、世の中の多くの人を救えないのではないか。発症前のリスクを評価して手を打っておくと同時に、実際、生活習慣の改善も大きな効果があります。例えば、私どもが数年前にBMI(肥満指数)30以上の肥満者を対象に、歩数計を使った運動療法と、1日1食はカロリー制限の規格食を交えた食事療法の介入試験を行った事例があります。その結果、最も有効だった人は、体重が104→82キログラム▽BMIが38→30▽ウエスト周囲径が114→91センチ▽血圧も146/82→116/76mmHg▽なおかつ中性脂肪が374→83mg/dlなど、本気になれば、そのぐらいの数値にまで変化を遂げることも可能。逆に言うと、メタボリックシンドロームの原因は、やはり食事と運動だったというわけにもなるわけですね。

 ともかく最近は、冠動脈疾患のうち約60%がメタボリックシンドロームを合併していて、1980年代と比べ、頻度は倍増しているという数値もあります。こうしたハイリスクなグループだけでなく、一般の人たちの予防にも生活習慣の改善が極めて大事で、それも特に小児、あるいは青少年への教育など日本人全体の生活を考えてメタボリックシンドロームの予防戦略をうちたてなければならないと思います。

 −−うまく生活改善できない人や発症寸前の人もいる。薬剤での介入となると

 どんな薬が有効か、メタボリックシンドロームの中では、まだ明確なエビデンス(科学的証拠)はありません。その候補としてスタチン系薬剤を使ったいくつかの介入試験でも、メタボリックシンドロームに関するサブ解析などの結果では、スタチンもかなりの予防効果があることがわかってきました。

 −−というと

 スタチンの作用点とメタボリックシンドロームの病態には直接の関係はないのですが、動脈硬化のプロセス自体が、前述したようにLDLを介していること。もう1点は、スタチンがメタボリックシンドロームの中の動脈硬化の炎症防止という部分に有効に働いている可能性があります。一部のスタチンでは、LDLを強力に下げるだけでなく、善玉のHDLコレステロールを上げたり、中性脂肪を下げる効果もあるのです。

 −−プラークを退縮させる効果もあるとか

 最近、順天堂医院「ハートセンター」でも、前述の血管内超音波などで心筋梗塞などの臨床介入試験を盛んに行うようになってきました。これまで動脈硬化は、“影絵”のような間接的な血管造影でしか見られなかったのですが、超音波では動脈硬化自体のボリューム、その質なども見られるようになって、動脈硬化の度合いもわかりやすくなりました。そうした超音波診断による「ESTABLISH(エスタブリッシュ)試験」では、ストロング・スタチンを使って、日本人の急性心筋梗塞患者に対してLDLを70mg/dlまで低下させたところ、プラークの退縮が認められました。さらに海外で行われた「ASTEROID(アステロイド)試験)」では、慢性の冠動脈疾患を対象に、LDLを60mg/dlまで低下させた結果、安定型のプラークを退縮させ、狭心症を改善したことが明らかになっています。日本人では、欧米と動脈硬化の質が違うかもしれないので、現在、同じように「The lower the better」に基づいた動脈硬化試験「COSMOS(コスモス)」を試みているところです。

 −−薬の使い方も大切ですね

 リスクの高い人たちには、より積極的に使うことになります。動脈硬化学会、高血圧学会のガイドラインにしても、高リスクであればあるほど、使用基準のターゲットをより低値に絞ってきています。スタチンはもともとコレステロールの合成経路をブロックし、LDLの肝臓への取り込みを促進してLDLコレステロールを下げる作用を持っていますし、最近、LDL以外の経路を使って心筋梗塞を予防していることもありそうだということがわかってきました。今後は、メタボリックシンドローム対策と絡めて、LDLコレステロールを下げること以外にも、スタチンプラス中性脂肪低下薬といった具合に、HDL、糖代謝改善薬などとのコンビネーションも考えていく必要がありますね。

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 ■「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます

 産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(http://www.metabolic−syndrome.net/)に掲載されています。

 【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ

 【後援】厚生労働省、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本血栓止血学会、日本心臓病学会、日本医師会、日本臨床内科医会、日本歯科医学会、日本歯科医師会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、日本CT検診学会、日本健康運動指導士会、健康・体力づくり事業財団、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本栄養士会、日本薬剤師会、日本フィットネス産業協会、日本製薬工業協会、サンケイリビング新聞社、扶桑社

 【協力】リビングプロシード

 【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 春日雅人・神戸大学医学部付属病院長(日本糖尿病学会理事長)、藤田敏郎・東京大学大学院教授(日本高血圧学会前理事長)、北徹・京都大学理事・副学長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学医学部付属病院長(日本肥満学会副理事長、日本動脈硬化学会副理事長)、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長

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 ご意見・お問い合わせ・情報等は、郵便もしくはFAXで。《〒100−8079 産経新聞メタボリックシンドローム撲滅実行委員会事務局》(FAX03・3243・1800)まで。

(2007/03/11)