産経新聞社

メタボリックシンドローム

【主張】日本医学会総会 最新の知識を健康対策に

 最新の医学研究の成果や医の倫理、医療のあり方などについて発表、議論する医学界最大の学会、第27回日本医学会総会が8日まで、大阪市内で開かれた。

 3日間で約2万5000人もが参加した学術講演での特徴は、生活習慣病につながる「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」関連の発表が多くを占めたことだ。

 「健康日本」の回復に向けて、この症状の研究が進展し、予防、治療について国民の関心が大きく広がっていることを評価したい。

 メタボリックシンドロームは、内臓の周囲に脂肪が蓄積するのが原因で血圧や血糖値などが上昇し、それがわずかでも重複すれば動脈硬化が起こり、心筋梗塞(こうそく)、脳卒中につながるとともに、糖尿病なども引き起こす。

 逆に言えば、この症状を予防・治療することにより、投薬などの医療費を削減して生活習慣病を一網打尽に退治でき、実に効率がいい。

 平成17年に内科系8学会の統一した日本独自の診断基準ができて以来、国が健康政策の柱にすえた。男性のウエスト周囲径85センチ以上が要注意など分かりやすいことからも急速に普及した。20年度からは、この症状の考え方を取り入れた健診が、医療保険者である自治体や企業に義務付けられるとあって関心を高めている。

 今回は、メタボリックシンドロームについて2つのシンポジウムが4時間にわたり開かれた。病態の医学的な研究や、病気の予備軍を見つけるための健診の実施の方針など、あらゆる角度から紹介された。

 例えば、40歳以上の男性の26%、女性の約10%がこの症状で、心臓病、糖尿病の発症率が高まることなどが疫学調査のデータで示された。また、内臓脂肪の過剰な蓄積により分泌量が減少する善玉ホルモンの測定が、内臓脂肪蓄積の有力な指標になり得ることなどが突き止められた。

 このような貴重な研究の成果は、速やかに健康政策に取り入れ、知識を国民に普及していくべきだろう。生活習慣病対策は、国、医師、医療関係者、患者が一体となって取り組む息の長い病気との闘いである。医学会総会での関心の高さがブームに終わらないことを望みたい。

(2007/04/10)