■正しい知識、普及を
生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防対策を国民レベルで進める今年度初の「メタボリックシンドローム撲滅委員会」(委員長、松澤佑次・住友病院院長、日本肥満学会理事長)が2日、大阪市内のホテルで開かれた。委員会には、松澤委員長、春日雅人・日本糖尿病学会理事長、新任の松岡博昭・日本高血圧学会理事長、渡邊昌・国立健康・栄養研究所理事長が出席。知識の普及に加えて実際の予防を進める段階に入った事業計画について、効果的な運動を進めていくための方策を話し合った。
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≪出席者≫
日本肥満学会理事長 松澤佑次氏
日本糖尿病学会理事長 春日雅人氏
日本高血圧学会理事長 松岡博昭氏
国立健康・栄養研究所理事長 渡邊昌氏
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■減量対策に環境整備を
□職場での意識改革必要
委員会は冒頭、松澤委員長が昨年度の活動を総括し「メタボリックシンドロームに対する国民の認知度が高まり、流行語大賞のトップ10にも選ばれましたが、これをブームで終わらせたくない。腹囲で健康チェックできることまでわかってもらっていますが、これからは内容を深め、どのように予防すればよいかなど具体的な対策の認知に活動をシフトしてもらいたい」とあいさつ。そのためには、行政、医学界、マスコミが三位一体となった健康キャンペーンがあって初めて成功すると強調した。
このあと、キャンペーンや事業計画についての意見交換に移った。
メタボリックシンドローム関連の大きな動きは、平成20年度からその考え方を取り入れた健診・保健指導が導入され、事実上の国民運動が展開されることだ。渡邊氏は「食事運動で体重をコントロールするのはなかなかむずかしい。メタボ委員会として認定指導者のような資格をつくり、派遣指導すれば深い内容の理解が進む」と提案。
「食事療法については、効果についてさまざまな見解がある中、正しい知識の普及が大切です。国だけでなく食品業界なども巻き込んで一本化して普及に当たることが効率的でしょう。運動療法では、続けることはむずかしいが、たとえば、減量マラソンを企画して体重100キロ以上など何か参加資格を付与すれば達成感が出ていい効果があるかもしれない」と具体的な方法を示した。
また、健康政策のサポート体制や環境整備について、松澤氏は「たとえば、車社会を生み出した自動車メーカーにも意識改革してもらい、自転車の製造や自転車専用道路の建設に協力してもらうなど呼びかければいい。また、リバーサイドなどに花を植えて周遊路をつくり、一周すれば数キロの歩行が実現するなど快適な都市環境の整備の実現についても提言していきたい」と語った。
こうした健康に対する意識の高まりがある一方で、会社員は企業という環境の中では、依然、十分な治療の時間が取れないケースが多いのが現状だ。松岡氏は「循環器病の基礎調査報告を10年に1回行っていますが、30歳代、40歳代の働き盛りが高血圧の症状をわかっていても放っておくケースが30%もある。企業は労働安全衛生法の面から健康診断を行うが、血圧が高いというデータが出ても生活習慣の指導などが不十分ではないかと思います」と職場での健康環境の改善をアピールした。
このような状況の中で、春日氏は「メタボリックシンドロームがかなり多くの病気の元だということを継続的に強調することにアピール効果があります。たとえば、高齢になって認知症になるなど介護が必要な状態の予防も、メタボリックシンドロームの予防から始まるという視点を入れればインパクトは大きい。圧倒的に中高年男性が多いのですから、職場での管理を厳重にすればかなりの効果が期待できるのではないか」と説明。 「今後は知識の普及から、個人で実際に予防する段階に入るので、動機付けになる、科学的な証拠に基づいた正確な情報を委員会から発信していくことは非常に重要だと思います」と話した。
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≪公式サイト毎月30万〜35万ビュー≫
1年目のキャンペーンは、まず、メディアでは産経新聞の1面で国内外の肥満予防、治療対策や研究の状況をリポートする長期連載「飽食社会への警告」を5部にわたり掲載したのをはじめ、「サンケイスポーツ」「夕刊フジ」などでも特集を組んだ。フジテレビ、ニッポン放送でも番組の中で継続的に紹介した。
事業活動では、イベントとして産経新聞の「大江戸ウォーク」、フジテレビの「お台場学園」でもブースを設けてPRし、東京メトロと大阪市営交通の電車内の中づり広告を使ったアピールは大きな反響を呼んだ。
さらに、6月から公式サイト「メタボリックシンドローム・ネット」を立ち上げたところ、毎月30万〜35万ページビューもの閲覧があった。内容も運動、食事、生活改善の体験報告などかなり具体的な情報を提供し、評価が高い。生活習慣メールマガジンの登録者も3000人に達している。このほか、神戸市で開かれた日本肥満学会の市民講座を共催するなど、他団体からの協力要請も増えている。
2年目の計画では、インターネットのウェブサイトを充実し、問い合わせが多い医療関係者向けのコーナーを設ける。地方自治体の予防イベント用の資料を提供するなど共同事業に力を入れるなどの方針が示されている。
(2007/04/27)