【委員6氏】
≪松澤佑次氏…予防の実践と成果の確認≫
メタボリックシンドローム撲滅委員会は、医学界・マスメディア・行政が三位一体で国民の予防医学のために共同歩調をとって活動するという前代未聞のムーブメントです。この結果メタボリックシンドロームの情報についてはこれまでの医療情報に比べてはるかに速いスピードで国民に認知されつつあり、期待以上の成果がありました。
今年度は本症候群についてのさらに深い知識を発信し、また本来の目的である効率の良い生活習慣改善による予防対策の実践とその成果を確認していかなければなりません。またメタボリックシンドロームがここまで増加してきたのは個人の自己責任だけではなく、わが国の食文化の衰退や、IT化、車社会、携帯電話、リモコンといった運動不足を助長する機械文明など、細菌やウイルスの蔓延(まんえん)にも匹敵する環境悪化が大きな要因となっています。従来の健康的な食文化を取り戻し、楽しく運動できる街の環境づくりなどもメタボリックシンドローム対策の課題となっています。
≪北徹氏…情報の科学的検証必要≫
今年は、メタボリックシンドローム撲滅委員会の活動として、まずメタボリックシンドロームの中身・その本質を国民に深く理解していただく作業が必要でしょう。
次いで、わが国は、世界に類を見ない勢いで高齢化が進んでおり、その現実的な対応が急務です。いかに健やかな老後を迎えることができるのかといった視点も重要です。それには、働き盛りの男性に多く見られるメタボリックシンドロームの予防・撲滅が中心になるでしょう。その健康管理は、職域の産業医を中心としたメタボリックシンドローム撲滅教育と彼らの診断・食事管理・運動療法による対応が成功のカギを握るでしょう。
さらに、女性の場合は、更年期以降がメタボリックシンドロームの頻度が高く、その対策が重要です。また、この症状の対策としての食品・運動器具など多くの情報が飛び交っているが、その科学的意義の検証が今後必要になるでしょう。(日本動脈硬化学会理事長)
≪春日雅人氏…予防へ十分な情報提供≫
わが国におけるメタボリックシンドロームの認知度をあげることに対して、このメタボリックシンドローム撲滅委員会の昨年度果たした役割は非常に大きかったと思われます。
本年度は、この認知度を深めて、さらに多くの人が予防のための第一歩を踏み出していただく年としたい。このために次の3点を指摘したい。
第1に働き盛りにおけるメタボリックシンドロームの予防が健やかな老後につながるという点を理解してもらう必要があります。第2は、撲滅には職域との緊密な連携が最も効率がよいのは明らかです。従って、各種企業の健康管理室から強力に働きかけることが重要である。第3には、予防の実践のために必要な情報が不十分と思われます。特に健康食品・健康器具などには予防に関する「正確なエビデンス」を紹介することも今後は重要です。
≪松岡博昭氏…自覚ない人にアピール≫
高血圧は生活習慣病といわれるように生活習慣(環境要因)と遺伝的素因の複雑な相互作用により生じてきます。高血圧に関与する環境要因としては食塩が重要ですが、最近では肥満をベースとしたメタボリックシンドロームに伴う高血圧が注目されています。
メタボリックシンドロームという言葉に関しては、今や大半の国民が知っていますが、問題は自覚症状がないために多くの人々が放置しているということです。生活習慣をはじめとした適切な管理により改善が可能であり健康寿命の延長につながるということを、学会、メディア、企業、国が一体となって一般国民にアピールする必要があります。高血圧学会としても、機会あるごとにメタボリックシンドロームを話題に取り上げて国民の啓蒙(けいもう)に努めたい。
≪斎藤康氏…現場密着の手法を確立≫
メタボリックシンドロームという病気が世の中に流布されてから、それほどの時間もたっていないのに、この言葉が広く浸透しています。このようなことが起こる背景にはこれを指導してきた医学界、行政、そしてそれをわからせようとしたマスコミなど多くの方々の力の結集があったからだと思います。そしてもっとも大切なことは、このような運動が一人一人の国民に健康を守ることへの関心を一層引き出したことは相違ありません。
さて、これから何をすべきか。予防し、治療を適切に行っていけるような人を創り、そのような社会、環境を作っていけるかどうかです。そこから確実に予防のための実践をしていくという行動を起こさなければなりません。それには、指導者は一人一人に接点を持ち、現場に密着した普遍的な手法を作り上げていくことが必要だと思います。(日本動脈硬化学会・日本肥満学会副理事長)
≪渡邊昌氏…減量させる環境づくり≫
メタボリックシンドロームという言葉と内容はかなり国民に知られてきました。撲滅委員会の2年目の仕事はこれをもっと幅広く定着させること。またできるだけ大勢の肥満者が減量しようという気にさせること。とにかく減量に向けて何か行動を起こそうとさせることです。
このためには環境づくりが重要です。会社なら社をあげて社員の健康づくりをめざすことで効果をあげられます。禁煙マラソンが効果をあげたように「健康マラソン」で減量に取り組むような方法もあるでしょう。
国を挙げての環境づくり、木陰の多い散歩道、安全な自転車専用道路、歩いて楽しい広場やショッピングセンター、いつでも利用できるジムやプール、こういった設備面の充実も必要です。また食事の表示についてもわかりやすいカロリーや食塩、脂肪量の表示が求められます。
(2007/04/27)