産経新聞社

メタボリックシンドローム

【こうして生まれた ヒット商品の舞台裏】小林製薬「杜仲茶」

 ■時代に先駆けメタボ戦略

 「杜仲(とちゅう)」は中国原産の落葉高木。樹皮は、腰痛や高血圧、頻尿などにきく漢方薬として珍重されてきた。一方、杜仲の葉も高血圧予防などにいいとされる。その葉をせんじた小林製薬(大阪市)の「杜仲茶」シリーズが売り上げを伸ばしている。昨年4月〜今年3月のそれは前年の約3・6倍という急成長ぶりだ。

 ヒットの秘密は、時代に先駆けてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に注目し、杜仲葉の研究に着手した“先見の明”にある、と同社薬粧品開発部の平田哲也係長。

 「メタボが社会の大きなテーマになったときには、われわれには杜仲葉の効果に関する研究データがあった。すぐに発表できたので、(PR戦略上)とてもよかった」

 同社が杜仲茶事業を日立造船から受け継いだのは平成15年。「ダイエットにいい」といわれ一度はヒットした杜仲茶だが、小林製薬が事業を譲り受けた当時は「(他社から)粗悪品が出回り、イメージが悪くなっていた」影響などで、消費者が離れていた。

 何とか消費者の注目を引こうと、薬局やスーパーで広告を目立たせるなど工夫を重ねたがうまくいかない。「撤退しようか」と悩むなか、「『健康全般にいい』という漠然としたイメージを、もっとピンポイントに、訴求力あるものにすればいいのでは」と思いついたという。

 そして出合ったのが、国が警鐘を鳴らし始めていたメタボの概念。16年後半のことだ。「一般にあまり知られていない概念だったが、食の欧米化が進んでいる日本でもメタボは重視されるようになる−。そんな確信がわきました」

 そのメタボにもし杜仲葉がいいとなれば、大きなアピールとなる。そう考えた平田さんらは研究をスタート。杜仲葉を服用すれば、内臓脂肪面積を減らす効果があることなどを証明できた。

 今後も同社は「杜仲茶」シリーズによる“攻勢”を続ける。今年3月にも、血圧が高い人向けの特定保健用食品「杜仲源茶」などを投入した。「(健康のために)ムダなところがない杜仲は人類の『宝』。今後も杜仲茶でみなさんのお役に立ちたい」。平田さんはそう言って笑った。(山口暢彦)

(2007/05/04)