メタボリックシンドローム撲滅委員会の提案を具体的な形で提示する実行委員会。第1回の会合に出席したメンバーは、抱負を語った。
≪宮崎滋・東京逓信病院内科部長、第28回日本肥満学会学会長≫
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積が密接に関係していることが、日本の研究でわかってきた。そこで、内臓脂肪をどれだけ減らせばいいのか、一般人はもちろん、医療、保健関係者にも提供すべきで、その点、「メタボリックシンドロームPro.」というネットは大変いい。どこに行けば正しい情報が得られるか、ナビゲーターの役を果たすと思います。また、運動療法が大変重要だということを再認識させたのもメタボリックシンドローム。直接指導を受けられればいいが、要注意者は40歳以上の男性の2人に1人とあまりにも多いので、個人で自分の状態がどの程度か、わかってもらえるような情報を提供していきたい。
≪和田高士・東京慈恵会医科大学新橋健診センター長≫
来年から始まる特定健診・特定保健指導は、実際やる側としては大変な労力で、人対人の対面指導により充実を図らなければならない。しかし、本人はあまり病気とは思わないので、保健指導する側は、関心を持たせるテクニックなどが非常に難しい。
「メタボリックシンドロームPro.」は、そういった人のためにも有効です。
健診する側、保健指導をする側としては、スキルやテクニックを公開する情報交換の場としても期待します。また、1人での改善は難しいので、例えばワンハンドレッド友の会をつくり、腹囲100センチの人はみんなで95センチになろうと目標を立て行動する場にすればいい。
≪中川徹・日立製作所日立健康管理センタ放射線診断科主任医長≫
メタボリックシンドロームの診断基準や、さまざまな健診項目をブラッシュアップ(刷新)することは、これからの検討課題です。企業で大規模に健診している立場から、妥当性の評価とかデータ収集、解析などをしていきたい。
もう1つ、私たちは保健指導の介入研究を行っています。厚生労働省は、指導される人とやりとりしながら答えを引き出すコーチング技法を薦めている。そういった技法を何とか標準化できないか。
「メタボリックシンドロームPro.」上で、医師・管理栄養士・保健師・薬剤師・運動療法士らが対象者との接し方についてコミュニケーションをはかりながら、標準化を進める。例えばダイエットに成功する人はどんなタイプかなど、個人特性がわかると成功する確率が高い。そういうものをツールとして撲滅委員会で作成していけば、非常に役立つでしょう。
≪宮地元彦・国立健康・栄養研究所健康増進プログラム運動ガイドラインプロジェクトリーダー≫
正しいエビデンス(研究成果)に基づいた実践の方法を強く発信していくことが一番重要な役割だと思っています。運動によって内臓脂肪を減少するために、エビデンスに基づくと「1週間に10メッツ時の運動」が必要です。メッツ時は運動の強さ、時間、頻度がすべて考慮されている活動量の単位だが、専門的で一般には伝わらない。「週に5日ぐらい30分の速歩」という言い換えもエビデンスに基づいて行う必要があり、なかなか難しい作業で撲滅委員会のようなきちんとした組織でないとできません。また、内臓脂肪の減少に関しては、運動と食事の両方でやらないと、絶対にメタボリックシンドロームは改善できない。だから、食事の専門家ともよく相談し、基準や案内を出していきたい。
≪菅野隆・健康創研代表、健康運動指導士≫
「内臓脂肪」「ぽっこりおなか」など体の問題を運動で解消する具体的な方法をネットで発信していきたいと思います。日常的運動実践の優先順位は、依然低いのが現状ですが、逐次、エビデンスに基づき、無理なくやりやすい効果的なエクササイズを提案させていただきたい。
≪斉藤満・日本ウオーキング協会事業局長≫
社団法人で、40年間ウオーキングを続けている協会で、会員の平均年齢は、65歳ぐらいです。若い人にも興味を持ってもらうために、「1万歩を歩いてみましょう」など言葉を変えています。
自分一人一人が意識を持って、エレベーターに乗らずに階段を毎日、自覚を持って歩く。歩き方も、かかとから入ってつま先でというように、一歩一歩、歩幅を伸ばしていく。指導員がいろんな場に行って、楽しく正しい歩き方を教えるように努力しています。
≪小野真実・企業内健康管理部門管理栄養士≫
働く世代へ食分野のアプローチをする際、組織的で系統立った活動が重要です。今回のネットなど、対象者がふだん気軽に、正しい食情報にアクセスできる環境づくりに興味があります。
私どもでは、食事バランスガイドを発表直後より健康教育に導入したところ、高脂肪でエネルギー過多の社員の食状況が如実に現れました。今後、現場で使えて標準化も意識した教材を発信したい。
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≪科学的、医学的情報を随時提供≫
【実行委員会とインターネットPro.】
発足したメタボリックシンドローム撲滅実行委員会は、本委員会の実行部隊となるもので、リーダーは、今年の日本肥満学会学会長を務める東京逓信病院の宮崎内科部長。医学、医療・保健指導、運動、食の4分野で実績のある学者、研究者らに委員を委嘱し、科学的、医学的なエビデンスを踏まえた情報を提供する。
また、インターネットでの展開は、6月から一般向けの「メタボリックシンドローム・ネット」に加えて、専門家向けの「メタボリックシンドロームPro.(http://metabolic−pro.net)」をスタート。医療関係者、保健指導者、自治体の健康増進課のスタッフらを対象に新しい医療制度や他県の動向など実務に役に立つ情報を提供する。
(2007/08/16)