産経新聞社

メタボリックシンドローム

進化する体重計 体脂肪率や筋肉量… 多様な表示機能

 食欲の秋、スポーツの秋…。果たしてどれほど食べて、どれだけ運動すればいいのか、気になるのが自分の体重だ。最近はメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)が流行語になるほど、消費者は自分の体について敏感になっているが、体重計の方もそれに伴って進化している。(村田雅裕)

 体重計は一般的に7000〜8000円の商品が売れ筋で、「体重計で1万円を超えるというと、消費者の方にはやや抵抗感があるようです」とヨドバシカメラマルチメディア梅田の担当者は話す。敬老の日などのプレゼントとして購入する人も多いが、贈答用の場合は単価も上がり、1万5000円程度の商品もよく売れるという。

 体重計の年間の販売台数は約300万台で、そのシェアの9割をタニタ(東京都板橋区)とオムロンヘルスケア(京都市)の2社で占めている。

 近年の体重計は「体組成計」と呼ばれるほど、体脂肪率や筋肉量、基礎代謝量、内臓脂肪レベルなどが分かる。これは、筋肉や水分は電気を通しやすいが、脂肪はほとんど電気を通さないという性質を利用して、体内に微量の電流を流し、その測定値を体組成の基礎データにあてはめ、それぞれの組成を推定する。この基礎データと推定方法の違いが、各メーカーの特徴となっている。

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 タニタの体組成計(インナースキャンシリーズ)は、足をのせるだけで測定できる手軽さが特徴。昨年10月には家庭用の体組成計では初めて、子供の体脂肪率による肥満判定ができるモデルを発売した。独自に収集した男女4261人(6〜17歳)のデータをもとに、日本肥満学会が公表した肥満度と体脂肪率の関係から、性別、年齢ごとの判定値を導き出した。6歳からの体脂肪率、肥満判定、筋肉量、推定骨量の表示が可能なほか、18歳からは内臓脂肪レベル、基礎代謝量、体内年齢、筋肉量スコアも表示できる。

 また、今年8月には、足をのせたうえで、腕を下げた状態で手に電極を持って計測する新製品を発売。6歳から両手両足別に筋肉量、脂肪率が表示され、体のバランスが分かりやすく表示されるタイプで、もちろん全身の体脂肪率、内臓脂肪レベル、推定骨量なども表示される。

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 一方、オムロンは、体重計の上で電極を持ち、腕をまっすぐ床と平行に伸ばす姿勢で量る体組成計(カラダスキャンシリーズ)が主流。昨年4月に発売された女性と中年男性をターゲットにした2商品が売れ筋という。

 女性向けの商品は体幹、両手、両足の3部位別に、皮下脂肪率と骨格筋率が同じ体格、性別、年齢の平均と比較してどのポジションにあるのかを表示。骨格筋とは体を動かすための筋肉で、脂肪と筋肉のバランスを表示することでダイエットへの意欲を高めるのが狙い。この骨格筋率は、他社にはないオムロンの特徴の一つだ。

 中年男性がターゲットの商品は、体幹部分の測定値を強調。内臓脂肪レベルと体幹皮下脂肪率が、同年齢の平均値と比較してどのポジションにあるかを表示する機能が付いており、メタボリックシンドロームへの注意を喚起する。

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 ■いつ量る?

 体重いつ量る?タニタ、オムロンヘルスケアともに推奨しているのが、食後2時間以上経過後か入浴2時間以上経過後。微量な電流を体に流して測定するため、体内の水分量の変化が大きく影響してしまうからだ。「入浴で体重が減ったから」と体組成計にのると、水分が減少しているため、体脂肪率が実際よりも高く測定されてしまうケースもある。毎日、食後2時間後などに量るというのはなかなか難しそうだが、起床後なら起床後と決めて、毎日同じ条件で量ること、何よりまず毎日、量ることが大切だという。

(2007/09/14)