産経新聞社

メタボリックシンドローム

【メタボリックシンドローム撲滅運動】「特定健診・保健指導」(3−1)

 ■啓発しリスク克服 壮大な予防医学に

 生活習慣病につながるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防をめざし、国民運動を展開する第4回メタボリックシンドローム撲滅委員会と、知識普及や運動の展開についての具体的な方策を練る第3回実行委員会が2月、3月に東京で開かれた。厚生労働省主導の「特定健診・保健指導」について、円滑に継続するための展開や受診率の向上など具体的な問題点について話し合った。

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 □保健師 野口緑氏

 ■まずは健診受ける事から

 治療から予防重視へ−。今回の「特定健診・保健指導」は従来の行政オンリーの健康づくりから地域・生活の場での実践活動が問われることになる。一昨年から兵庫県尼崎市で「ヘルスアップ尼崎戦略」を実施している保健師、野口緑氏が具体策や結果報告を行った。

 野口氏は、平成12年から尼崎市職員の健康管理に携わり、健診データを基に心臓病や脳卒中のリスクが高い人を選んで保健指導し、「死亡ゼロ」に導いた実績がある。現在、国民健康保険の分野に移り、被保険者10万人を対象に保健指導を続けているが、国民健康栄養調査と比べても、同市の男性のメタボ該当者は、各年代とも多い。

 当初から取り組んでいるのは、受診率のアップ。国保の場合は65%の目標となっており、平成18年度の実績は19%だったのが、19年度は22%に上昇した。

 「まずは、健診を受けてもらわないことには、該当者にも出会えず、救える人も救えなくなる」と野口氏。そのために、土、日曜返上で商店街をめぐって受診を呼びかけたり、夜間は、地域のどんな小さな集会にも出向いて、健診の目的やメタボ予防の重要性など、地道に説いて回っている。

 配布しているチラシには、「メタボでもメタボじゃないあなたも〜その生活習慣で大丈夫?」とある。

 野口氏は「メタボをブーム的にとらえるのではなく、非常に重症化するまで自覚症状が出ないことを知ってもらいたい。脳血管障害で寝たきりになったりすると、本人や家族が大変なのはむろんのこと、結果的に高額な医療や介護を要し、社会保障費の増大にもつながります」と語る。

 同市では、20、30代の若い世代も対象にしているが、その受診率は6・6%。受診者は総計3571人となったが、そのうち、若い世代を中心に8割以上が「生まれて初めて健診を受けた」という。その結果はどうだったかというと、そのうちの12%が「受診勧奨レベル(医療機関での要治療)」だった。

 これ以外に、保健指導を必要とした人たちは、総受診者の33%▽異常なしは、55%という内訳。半年後の保健指導の結果はというと、8割の人が、健診判定のデータなどが改善していることがわかった。45歳男性(飲食店経営)の場合、腹囲89・5→84センチ▽体重75→70・4キログラム▽中性脂肪390→99mg/dl▽その他数値は軒並み低下−などと変化していた。

 お茶代わりのビールは付き合いのときだけ、間食の菓子パンも半分に、揚げ物などを控えた食生活の結果だった。野口氏は、「何げなくやっている生活習慣が脂肪の蓄積につながっていた。メタボは単なるダイエットだと思われているふしがありますが、健診結果に合わせた、個別対応のアプローチをしていくことが非常に重要だと思います」と語る。

 昨年夏から半年後の健診では、メタボの該当者が半数に減っていた。ユニークなのは、サポーター企業も募っていること。市内限定のヘルシー弁当や料理店では、たくさん野菜の入ったパスタの売り出し、スーパーの野菜売り場でははかりを置いて何グラム野菜を買ったかわかるような仕組みにしてもらったり、市内各地に血圧計を置いて、常時測れるようにしたり、メタボ解消の環境づくりにも熱心に取り組んでいる。

 一方、健診受診を呼びかける歌や体操も作成し、サポーター企業や保育所などにも流している。

(2008/04/02)