■臨床試験 9カ月後、歯槽骨の新生を確認 「大いなる夢」へ着々
−−どういうメカニズムで再生させるのか
まず歯根膜の細胞(PDL)に働きかけて数を増やします。つまり再生のための「種」をたくさん作ります。さらに血管が新生されれば、その種が育つ環境、すなわち「畑」もよくなります。
歯周組織幹細胞の数をFGF−2などで増やしていくことは大事なステップですが、その際に幹細胞が骨芽細胞やセメント芽細胞へと成長する「分化能」を維持させることも重要です。そうでないと、FGF−2で刺激した幹細胞は将来、骨やセメント質を作れないことになってしまいます。FGF−2の再生医療では、幹細胞に働きかけ数を増やすとともに、幹細胞の分化能を保持させることがポイントなのです。
−−動物実験もされている
多くの動物実験を繰り返してきました。ビーグル犬の実験では、犬のあごの骨に病気を作って炎症を起こし、骨の穴が開いたところにFGF−2を注入すると、6週間ほどで新生骨が上がってきて骨の穴もふさがったのです。最近のデータでは、新しく再生された歯根膜の中に神経線維も回復していることがわかりました。つまり、感覚器としての歯根膜の働きも再生されると期待がもてます。数十マイクロメートルの幅のセメント質と数百マイクロメートルの幅の歯根膜が、みごとに再生された様は身体の神秘にも思われます。つまりサイトカインで細胞のお尻をポンとたたいてあげると、後は身体の方が正しい治し方を決めてくれるのです。
−−実際に人での臨床試験も進んでいる
2001年からの第II相治験では、約80人の患者さんに協力いただいて全国13施設で二重盲検のプラセボ(偽薬)群も交えた臨床試験が実施され、その結果、0・3%のFGF−2の投与9カ月後には、有意な歯槽骨の新生が確認されました。安全性の点でも大きな問題は認められませんでした。今、全国一斉に始まっているのは、最終段階の第III相治験。すでに今年の夏から全国の大学の歯科医師たちにより評価が始まっています。
−−今後の課題として
薬剤として臨床応用するには、まだいくつかの課題をクリアしなければいけません。安全性・有効性を真摯(しんし)に評価することが求められています。さらに将来的には、幹細胞に再生すべき組織の大きさと形を教える「足場材」を開発することが極めて重要です。組織工学でいわれるように、幹細胞と足場材、それにサイトカインの3つをうまく組み合わせることができたら、理想的な再生が思い通りに達成されるということになります。
−−患者さんに対して
歯1本抜けただけでも、生活の質(QOL)は大いに減ずることになります。自分の歯を長く使うには、まず予防対策として、きちっと歯磨きする習慣を身につけることが肝心です。それでも、歯周病にかかってしまい、歯の寿命がおびやかされることがあったら、歯周組織再生療法の出番です。「口」が支えるQOLの維持向上に大いに役立つと思います。「歯周組織の再生医療」は、大いなる夢と可能性を秘めています。安全で患者さんにやさしい再生医療が世界的に広がっていくといいですね。
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【プロフィル】村上伸也
むらかみ・しんや 大阪大学歯学部卒業。講師、助教授を経て、平成14年大学院歯学研究科教授。専門の研究分野は、歯周病の病態解明、歯周組織再生療法の確立。Anthony Rizzo Awardなど国内外多数受賞。日本歯周学会常任理事、日本歯科保存学会理事など。
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■「撲滅運動キャンペーン」に取り組んでいます
産経新聞社では、「メタボリックシンドローム撲滅のためのキャンペーン」に取り組んでいます。詳しくは、メタボリックシンドローム撲滅委員会専用ホームページ(http://metabolic−syndrome.net、metabolic−pro.net)に掲載されています。
【主催】メタボリックシンドローム撲滅委員会、産経新聞社、フジテレビジョン、ニッポン放送、フジサンケイ ビジネスアイ
【後援】厚生労働省/日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本循環器学会、日本腎臓学会、日本心臓病学会、日本血栓止血学会、日本歯科医学会、日本歯周病学会、日本抗加齢医学会、日本CT検診学会、日本人間ドック学会、日本総合健診医学会、日本食物繊維学会、日本内分泌学会、日本プライマリ・ケア学会、日本医師会、日本臨床内科医会、日本歯科医師会、日本栄養士会、日本薬剤師会、健康・体力づくり事業財団、日本健康運動指導士会、日本フィットネス産業協会、日本生活習慣病予防協会、全国保健センター連合会、全国保健師長会、日本糖尿病財団、日本心臓財団、日本製薬工業協会、日本ウオーキング協会、日本看護協会、健康保険組合連合会、日本OTC医薬品協会、日本健康スポーツ連盟/サンケイリビング新聞社、扶桑社
【協力団体】高尿酸血症・メタボリックシンドロームリサーチフォーラム
【メタボリックシンドローム撲滅委員会】◇委員長 松澤佑次・住友病院院長(日本肥満学会理事長)◇委員 門脇孝・東京大学教授(日本糖尿病学会理事長)、島本和明・札幌医科大学教授(日本高血圧学会理事長)、北徹・神戸市立医療センター中央市民病院長(日本動脈硬化学会理事長)、齋藤康・千葉大学学長(日本肥満学会理事、日本動脈硬化学会理事)、渡邉昌・国立健康・栄養研究所理事長、中尾一和・京都大学教授(日本内分泌学会理事長)
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ご意見・お問い合わせ・情報等は、郵便もしくはFAXで。《〒100−8079 産経新聞メタボリックシンドローム撲滅実行委員会事務局》(FAX03・3243・1800)まで。
(2008/12/25)